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2022年中国茶稽古開講

2022.04.12 shop blog

2017年に神戸より茶人の渡邊乃月さんをお迎えして始まった月乃音中国茶稽古も丸5年が経ち、6年目を迎えました。新型コロナウィルスと共存する生活も早2年が過ぎ、個々が気持ち良く過ごせるひとつの方法として、ファクトリーズーマでは、中国茶のお稽古の時間を提案させていただいております。今年も渡邊乃月先生のご指導の元、3月からお稽古がスタートいたしました。お稽古では、非日常の時空間ですが、その時に感じた何かを、日常に持ち帰り、それぞれが毎日の生活に役立てているように思います。

今回のお稽古は、中国大陸の安徽省(あんきしょう)茶学でした。
安徽省では、緑茶、黄茶、プーアル茶、紅茶など幾つかのお茶の種類を製茶しておりますが、その中から、茶文化の歴史上もっとも早く製茶されたと記録されている緑茶の学びを深め、そして、世界三大銘茶と言われている祁門紅茶との飲み比べをしました。緑茶は、現在もなお中国でもっとも生産量と消費量の多いお茶です。古代人が野生の茶樹から茶を摘み取り、酸化酵素を止めて仕上げてゆく。長い歴史の中で、その加工方法や技術が蓄えられて、完成しました。

明代初期 ある僧侶が安徽省黄山市休寧県の松蘿山でひとつの緑茶を完成させました。熱した大窯の中で「炒る」という殺青方法です。これまでの「蒸青緑茶」よりも香が高く、手順も簡素で、急速にこの画期的な製法の緑茶が広がり、のちに山の名前から製法を「松蘿法」と呼び、「松蘿茶」が誕生しました。

緑茶には、4つの加工法、緑茶四大加工法があります。長い歴史の中で、①が最も古い加工方法、②、③、④と変化をしてきました。
①蒸青法(蒸気で蒸し上げる)②炒青法(釜の中で軽く炒りつける)③こう青法(じわりとあぶり竹の中でいぶす)④晒青法(日光・太陽光で発酵をとめている)
今回は、②炒青法で加工された休寧松蘿茶(きゅうねいしょうらちゃ)をいただきました。
一煎目は、明るくて透き通った黄緑色。淡い水色ですが、緑茶の爽やかな青みとほのかな渋みが広がります。緑茶は、茶葉のゆらゆらと沈む様が見えるガラスの急須や茶器でいただくのが醍醐味です。二煎目、三煎目と飲みすすめていくと、渋みの中に、だんだんまったりとしたうまみ甘み、釜炒りの香ばしさが口の中に広がり、後味の余韻が残ります。中国茶は蒸らし時間を20~30秒ほどで切り上げることで、何煎も何煎も飲み進めることができ、味や香の変化を聞きながら楽しみます。
そして、休寧松蘿茶をいただいた後は、中国安徽省祁門県で作られる紅茶「祁門紅茶(キームン)」を大きなミモザのリースを茶盤に見立てた茶席で楽しみました。花の蜜の香り、果物の甘みのする祁門紅茶の螺珠茶は、ミモザにとてもよく合い、鮮やかな黄色は春の訪れを伝えてくれているようでした。

今回のお稽古では、広坂の/galleryで現在開催中の「中本純也展」に先駆けて、中本純也さんの作品を使ったお稽古を開催致しました。実際に使ってみることで、直に唇に触れる感触、手に取った時のずっしりとした感覚、厚み。薄さから指に伝わる温度、それぞれの器にしっくりとくる瞬間があります。自然豊かな場所で制作されているのがわかる大らかな佇まいと、実際に使うことで伝わってくる自然の繊細さが中本さんの器の魅力です。ぜひみなさんにもその感覚を味わっていただきたいと思っています。

中本純也/フタモノ、茶杯
中本純也/ギザギザ小皿
中本純也/ゆのみ
中本純也/ポット



会期中、みなさんに中本さんの器を実際に使っていただくカフェメニューをご用意しております。犀川沿いの/shopにて、月乃音 寿眉白茶+天一製菓 桃包子(黒胡麻餡)をお召し上がりいただける白一式メニューです。

◯寿眉白茶:中国福建省福鼎県2015年もの。白茶特有の爽やかな草香に加えて蔵7年の経過により紅茶のような優しい甘味が広がる茶。
◯桃包子 :黒胡麻の餡饅。古来より長寿や幸福、平安を願う象徴のかたち


「白一式」
中本純也/ポット、取り皿、茶杯

◯次回の中国茶稽古は、6月25日(土)・26(日)になります。25(土)16時の回は1席余裕がございますので、ご参加してみられませんか。新しい中国茶の世界が待っておりますよ。お問い合わせ:/shop 076-244-2892 info@factory-zoomer.com<y>

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