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Gallery NAO MASAKI「再生する青 /reclaimed blue project」

2020.03.13 column

2019年12月にGallery NAO MASAKIで開催された「再生する青 /reclaimed blue project」辻和美+factory zoomerの展覧会レポートをお送りさせていただきます。展覧会をご覧になれなかった方、足を運んでくださった方にもぜひ見ていただきたいです。

○12月7日(土)ー12月22日(日) Gallery NAO MASAKI  

[再生する青」
kazumi tsuji + factory zoomer

2011年よりスタートしたプロジェクト
「もしご家庭にいらなくなった、めんちょこがありましたら、工房で溶かし直し、新しい作品に生まれ変わらせます」。と、工房にたまった廃棄用の黒いガラスを中心に、溶かし直しをスタートしました。ごちゃ混ぜに溶かすと、絵の具のようにグレーのガラスになるかと思いきや、藍色とよんでもいいような深い青が生まれました。特別な調合をしたわけでもなく、ガラスの持っている性質に逆らうことのない溶かし直しで、オマケのようにできた美しい青。直感的に、自由で、少し特別なモノを作ろうと思いました。そして、リサイクルを声高々にうたうのはやめようと、そのモノ自体の美しさに人が惹かれ、再び、側に置いてもらえるモノに生まれ変わらせることが大切で、それがリサイクルかどうかはモノにとっては、実はどうでもいいことだと思っています。そして、その美しいモノを見たくて、性懲りもなく再び作るのです。

辻のこんな思いからスタートした「再生する青/reclaimed blue project」は、2011年から色々な場所(ギャラリー)で、ある時は「白と青」、ある時は陶作家さんとのコラボ「Gray+Blue」など様々な見せ方で展覧会をしてきました。そして、2017年7月には、我らのfactory zoomer / galleryにて展覧会があり、ホワイトキューブの中の7月のblueは、湖の水面のような広がりと、深い海の中をのぞきこんだような静けさと、そんな清々しい空間でした。


冒頭でも触れましたが、そもそもreclaimed blueとは、工房にたまった廃棄用の黒いガラスを中心に溶かし直したガラスなのですが、通常factory zoomerでは、ツボの中は透明のガラスを溶かしており、スタンダードシリーズの「黒」を制作する際には、透明のガラスの上に、黒いパウダー状のガラスを巻きつけることで「黒」のガラス作品を作っています。これを被せ(きせ)ガラスと言います。下に透明、上から黒を被せているので、スタンダードシリーズのホリホリや、モウモウ、シマシマなどの模様が作れるのです。そして、このreclaimed blueはツボの中に、今までの制作過程における廃棄用のガラスを入れ溶かしますので、ツボの中が透明ではなくなってしまいます。ですので、年に1,2回の工房のメンテナンス(ツボ替え)の前に数週間のみしか制作ができないのです。この数週間に今年のblueが凝縮され、その年々によって微妙に色が違い、各年もののreclaimed blueが生まれます。このreclaimed blue、実はとても貴重なのです!

そしてこの度、2年越しに名古屋のGallery NAO MASAKI で開催された「再生する青/reclaimed blue project」の展覧会。
今回、辻が取り組んだのは、遠い古のカタチ。「今回は、日本人ならだれしも憧れを持つ李朝白磁、さらには、その元になった中国の唐、宋時代の陶磁器を自分自身のフィルターを通して作るとどうなるかに興味がでてきた。もう一度、再生された原料で、形をも再生していくことに挑戦していきたい。」
そうして生まれてきた、過去の器物のカタチもどこか辻和美のフォルムに生まれ変わり、シンプルで心地の良い風のようとおっしゃるGallery NAO MASAKIの正木なおさん。今までも過去の器物のカタチ、伝統的なカタチを制作してきた辻ですが、今回の展覧会では、さらに新たな世界観が広がっているように感じました。
私は7年ほど前からreclaimed blueを間近で見てきましたが、段々と 見え方の幅や、奥行き が変化しているように思います。元々辻のガラスの持つ佇まいとは、包み込む懐の深さと、潔さ、気っ風の良さみたいなものの絶妙なバランスで、辻の人柄そのものだと感じているのですが、どんどんと 広がり と、深み を増しているように今回、Gallery NAO MASAKIの空間の中で感じました。それは、factory zoomerのblueが持つ、色の深さと軽やかさと共に、古のカタチが相まっているのではないかと感じています。

今回の展覧会では、そんなreclaimed blueの、今の一番の展覧会だったように思います。 NAOさんが各々の作品に心地よい風を吹かせてくださり、ブルーたちは誇らしく、気持ち良い緊張感の中で軽やかに佇んでいました。


Blueの作品は、淡〜い薄水色から濃く深い藍色までのグラデーションが魅力のひとつですが、そのグラデーションを際立たせ、さらに魅惑的にさせるのがCUT(カット)です。 このreclaimed blueは、毎年、微妙に違うBlue になります。それはでてきてのお楽しみですが、次はどこでreclaimed blueに会うことができるのでしょうか。
今年は、factory zoomer のガラスについて、楽しく、より深く、皆さまにお伝えできればと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
(文責:柳田歳子)

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