factoryzoomer

gallery blog

主役と名脇役

2021.01.9 gallery blog

12月から始まった「佃眞吾展」も残すところ1月11日(月)までのあと3日間となりました。前半は木地の作品がギャラリーいっぱいに並び、軽やかな空間となりました。第2期では、漆塗りの作品が中心で、冬の真っ白な金沢に重厚な雰囲気を醸し出しています。漆が施されたことで、直接食べ物を入れられる道具としてお使いいただけるのも、また、器が重厚になり、木地とはまた変わった印象になるのも、漆作品の魅力です。



今日は、展覧会作品の中から、重箱と、折敷(お盆)のご紹介をさせていただきます。
重箱と言えば、お正月のおせち料理を盛り付ける晴れの日に登場する道具が一番に思いつきます。器の中では「主役」になる重箱、箱物。その蓋を開ける前の緊張感、高揚感を外側から一身に受け、そのプレッシャーを受けながら堂々と鎮座する重箱。開けた瞬間に目に飛び込んでくる色や、香り。。。

Mokki 重箱 大/小

Mokkiの重箱は、Mokkiを3段に重ねられるお重になります。お正月だけでなく、運動会や、ピクニックなど、人が集まった時などにおにぎりや、唐揚げなどがお重から出てくるだけでわくわくします。また、使い方次第と、心持ち次第で、器は晴れの日だけではなく、日常使いにもなってくれます。そんな風に使っていただけると毎日の生活もとても楽しいものになります。


入隅重箱 欅
重箱 レースウッド


入隅重箱には、蓋を開けると和菓子が綺麗に並べられている様が目に浮かびます。また、重箱レースウッドは、レースの様な木目がとても綺麗で、宝石箱のような面持ちです。重箱と一言で言っても、その重箱が持つ佇まい、雰囲気に何を入れるか考えるだけでとても楽しくなります。蓋を開ける高揚感をぜひ味わっていただきたいです。

続きまして、折敷のご紹介です。
お盆や折敷は、脇役的な存在で、目立ってはいけないというのが折敷です。食事をする時に主役になるのは、お料理+器。そのお料理が盛られた器を引き立てるのが折敷の役割で、どんな器も受け入れるのが名脇役の腕の見せ所です。
でしゃばらず、引き立てる。。。とても難しいんですよと、にまにましながらお話ししてくださった佃さんはとても楽しそうで、主役になる器を制作する佃さんとはまた違った表情で話してくださったのがとても印象的でした。

木瓜折敷 栗
木瓜盤 欅
我谷盆 八寸/大・正方形
波々盆 欅


佃眞吾展 1月11日(月・祝)18時まで開催しております。現在、移動が難しいお客様もいらっしゃるかと思います。気になる作品がございましたら、お気軽にinfo@factory-zoomer.comまでお問い合わせください<y>



佃眞吾展 第2期のお知らせ

2020.12.27 gallery blog

佃眞吾展、漆塗りの作品が中心の第2期が12月25日よりスタートしました。

初日には漆塗りの作品を楽しみにしていらしたお客様が、たくさんご来店下さり、お目当ての作品をじっくりお選び下さいました。
展示の切り替えに合わせて、花人の杉謙太郎さんが佃さんの作品を使って季節のお花を生けて下さり、店内は、凜とした厳かな雰囲気となっております。

第1期でご紹介していた、Mokkiや菊花盆なども漆を施してあると、木地の時とはまた違った魅力があり、使い勝手にも違いが出てきます。
漆塗りの作品は木地の作品よりも水に強いので、食材の水分や油などが染み込まず、洗う事も出来ます。
Mokkiなどにおにぎりを入れたり、我谷盆をお皿に見立てて盛りつけて使っていただくなど、直接食品を盛りつけられるので、アレンジをきかせた使い方が楽しめます。


漆塗りの作品は、乾いては漆を塗り、また乾いては塗り、、と、その工程を何回も繰り返しながら、時間を掛けて完成させていくもので、一度にたくさんの作品を作る事が難しいのです。
そのため、それぞれの作品の数には限りがあります。
気になっていらっしゃる作品がある方は、ぜひ、お早めにご来店下さい。
※ご来店が難しい方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

また、第1期でご紹介させて頂いていた作品も、佃さんのご厚意で、引き続きお預かりさせて戴いておりますので、お気軽にスタッフにお声がけ下さい。

/galleryの2020年の営業は、本日までとなります。
年始は1月3日より引き続き佃眞吾展をご覧いただけます。
ご来店お待ちしております。

佃眞吾展2020.12.04 fri. – 2021.01.11 mon.
※12月28日(月)から2021年1月2日(土)までは定休日+冬期休業のためお休みさせていただきます。
詳しくはカレンダーをご覧下さい→
(n)

使いかたは十人十色

2020.12.18 gallery blog

数日前からの降雪で、ギャラリーから見える金沢城の石垣にも雪がうっすら積もり、12月らしい静かな冬の景色が広がっている金沢です。

佃眞吾展、前期の最後にご紹介するのは、重小箱やMokki。
前回は、お盆など“乗せる”作品をご紹介致しましたが、今回は“入れる”作品のご紹介です。

つい、テーブルの上などに散乱してしまいがちな、細々したモノたち。
片付けようと思っても、また知らぬ間に同じ状況になっている。。なんていう事態になってしまうという方も多いのではないでしょうか。
よく使うものほど「またすぐに使うし」と、すぐに手が届く所に置いておきたいし、あんまり奥にしまいたくないな。と思ってしまいますよね。
でも、それでは乱雑な卓上は一向に片付きません。
整理整頓の上手な方は、入れる場所(箱)を確保するのだそうですが、そんな時に活躍してくれるのがMokkiです。
お運び盆や、食器としても使えるMokkiの一番得意なのは、見せながらにして収納できるカゴとしての使い方ではないかと思います。
1つの木のかたまりから刳(く)りだして作られているMokkiは、丈夫で安心感があります。
現在、/galleyでご紹介しているMokkiは、種類は限られてまいりましたが、いずれも側面に彫模様が入っており、カジュアルで軽やかな印象の作品なので、普段の食卓や洗面所、机の上など日常に溶け込み飽きがきません。
大きさや形により、色々と工夫しながら楽しく使えるMokkiは、形違いでいくつも揃えたくなりますよね。
仕上げにオイルなどを施していない、栗の素材そのままの仕上げなので、日々使いながら、次第に色が濃くなっていく変化も楽しみのひとつです。



Mokki が日常づかいの収納上手だとしたら、重小箱の作品は、もう少し特別なものを大事にしまっておくのにピッタリです。
目の錯覚で浮き上がっているように見える木目が珍しい栃の木材が特別な気持ちを盛り上げてくれます。
木の皮に近い部位はこのような模様ができている事が多いのだそうで、2つとして同じものの無い美しい佇まいです。
指輪や、ピアスなどのジュエリーや、帯留め、ブローチなど、小さな装飾品を大事にしまってお使いいただいたり、 ティータイムのお茶うけセットをセッティングするのも楽しそうです。例えば、浅い段に小さなフォーク、紙ナプキンなど、その下の段には段の深さに合わせて、焼き菓子やマカロンなどのお茶菓子を準備して、来客時にちょっと特別なお茶時間など。。
シンプルな形なので、使い方は工夫次第でいろいろと広がります。

木地の作品の展示がご覧いただけるのは、12月24日(木)までとなります。是非この機会にご来店下さい。
12月24日は、営業時間が16時までとなりますので、ご来店の際にはご注意下さい。


佃眞吾展
2020.12.04 fri. – 2021.01.11 mon.
※12月28日(月)から2021年1月2日(土)までは定休日+冬期休業のためお休みさせていただきます。
詳しくはカレンダーをご覧下さい→

前期:12月4日(金)- 12月24日(木)   
※24日は展示替えのため16時までの営業となります。
後期:12月25日(金)- 1月11日(月・祝)

よそ行きな日常を楽しむ

2020.12.10 gallery blog

あちらこちらで雪吊りも見られ、冬の準備が整った様子の金沢の街並です。
/galleryでは12月4日より、木工作家 佃眞吾さんの展覧会がスタートしております。

トレーやMokki、小箱など、暖かな木の作品で店内はほっとするような雰囲気が広がっています。

現在ご覧いただいております1期は木地の作品が中心となっていますが、いずれの作品も木目が美しく、お使いいただいていくうちに少しずつ変わっていく色などをお楽しみいただけます。

佃さんは、作品を作る時、その作品の大きさや形によって素材のどこの部分を使うのか、木目をご覧になりながら考えられるそうです。節の位置なども、このように考えられて配されているからこそ、1点1点どの作品も魅力的なのだと、納得しました。

紹介している1期の作品で、一番種類が多いのがトレーです。
落ち着いた雰囲気のある輪花盆やエレガントな縁のデザインが美しいEuro Trayなど、いつものテーブルの上をランクアップさせてくれるアイテムばかりです。
今回は、そんなトレーをご紹介させていただきます。

展覧会のDMの作品にも掲載させていただいた、Euro Tray。
まるでアールデコ調の建築物のように、なめらかな曲線のデザインが美しい作品です。
木工作品ですが銀食器を思わせるような雰囲気なので、アンティークの絵皿やカップなどと相性よくお使いいただけそうです。ティータイムに一人前のおやつとお茶のセットや、また、置き床のように花器など飾って使っていただくのも、ぜひお試しいただきたい使い方のひとつです。
素材:楓(正方形)、楓・山桜(長方形・丸)



複弁輪花盆 
縁の立ち上がりがゆるやかなこちらのお盆、お1人分の軽食をのせて折敷としても使いやすいサイズです。
大きな面に広がる木目の美しさを是非ご覧いただきたい1点です。
素材:楓、玉椿


菊花盆
愛らしい菊花盆は、木の色と相まってどこかでみかけた美味しいビスケットのようです。
直径約23cmとプレートとしてもお使いいただきやすいサイズなので、使い方のバリエーションがより一層広がります。
素材:楓、神代楡、桜

上に乗せる食器やお料理などとの調和が取りやすいシンプルさ、それでいて、いつもとは違う、よそ行きな気分を味わわせてくれる佃さんのトレー。
ぜひ、この機会にご覧いただければと思います。
(n)


佃眞吾展
2020.12.04 fri. – 2021.01.11 mon.
※12月28日(月)から2021年1月2日(土)までは定休日+冬期休業のためお休みさせていただきます。
詳しくはカレンダーをご覧下さい→

前期:12月4日(金)- 12月24日(木)
   ※24日は展示替えのため16時までの営業となります。
後期:12月25日(金)- 1月11日(月・祝)

明日より佃眞吾展です

2020.12.3 gallery blog

/gallery前の欅の木もすっかりと葉を落とし、随所で雪吊りの風景が見られる季節になりました。

明日12月4日(金)から、21世紀美術館近くの/galleryでは、木工作家の佃眞吾さんの展覧会がスタートします。
前回は2018年から2019年にかけて開催して下さり、factory zoomer /galleryでは、2年ぶり3回目となる今回も、年をまたいでの開催となります。

今回も、会期を前期と後期の2期に分け、展示内容をガラリと変えてご紹介する予定です。
明日から始まる前期は、木目や木材の質感を活かした木地の作品が中心の軽やかな作品たち。factory zoomer /shopのカフェでもお馴染みの、Little Mokkiや、大きさのバリエーションが豊富なMokkiシリーズ、縁のデザインがエレガントなEuro Trayなどが/galleryの店内には並びました。
初日の明日は、佃眞吾さんも在廊して下さいます。

*感染予防に十分に注意しながら営業させていただきます。
ご来店の際にはマスクの着用、入り口での手指の消毒にご協力をお願い致します。また、店内の人数によってはご入店をお待ちいただく場合もございますので、ご了承下さい。

佃眞吾展
2020.12.04 fri. – 2021.01.11 mon.
※12月28日(月)から2021年1月2日(土)までは定休日+冬期休業のためお休みさせていただきます。
詳しくはカレンダーをご覧下さい→

前期:12月4日(金)- 12月24日(木)
   ※24日は展示替えのため16時までの営業となります。
後期:12月25日(金)- 1月11日(月・祝)


特徴を生かしたものづくり

2020.11.27 gallery blog

/galleryでご紹介しております、ニットブランドのANSPINNEN。
11/29(日)までの会期となりました。
たくさんのお客さまにご覧いただいており、使われている素材の質の良さやシンプルな形など気に入って下さり、何回もご来店下さるお客様もいらっしゃいます。
このところ、11月とは思えないような暖かな日が多かったのですが、やはり、朝夕は徐々に本格的に冷え込みがあり、木枯らし吹く寒い季節もいよいよ目前といったところでしょうか。

今回は、カシミヤ以外の獣毛アイテムをご紹介させていただきます。
ヤクやキャメル、ラムズウールなどその特徴を生かして良さを引き出すアイテムづくりができるのは、ANSPINNENの基盤が、それぞれの特徴を熟知している紡績会社だからこそ。

暖かなアイテムが勢揃いした今展覧会で、その手触りや軽さで人気を集めているのが、ヤクの素材です。
ヤクはチベット高原を中心に、標高の高い大変厳しい環境に生息しているウシ科の動物で、硬い表側の毛の内側はややわらかな毛で覆われていて、ご紹介しているアイテムは、その、産毛だけを紡いた糸で編まれています。
太い糸で編まれたローゲージのセーターは、他のカシミヤやウールなどで同様のセーターを作った場合、どうしてもセーター本体が重くなってしまうのですが、ヤクの特徴でもある軽さを生かした素材選びから、こちらのニットはとても軽量に仕上がっています。
また、軽さだけではなく、手触りがとても柔らかくふわふわとして、程よく弾力があって、、とにかく、大変心地よいのです。
店頭でご紹介しているアイテムは、いずれもご試着頂く事ができるのですが、特にこちらのアイテムは、色々とご説明させていただくよりも、お試しいただければその良さを実感していただく事ができるので、ご試着をお勧めしております。

ヤクチャンキー ステンカラーコート


ANSPINNENのラムズーウールのアイテムは、とてもなめらかな手触りでふっくらスポンジのような弾力があります。
店頭では、同じ形でカシミヤとウールを並べてご紹介しているのですが、ほとんどの方が、素材の違いが分からないほどです。
小金毛織で使用しているラムズウールは、生後6ヵ月以内の子羊の毛で産毛を持っているメリノ種の羊のもで、その繊維の細さは通常のラムズウールよりも、6マイクロンも細く、世界のウールの中でも約0.06%ほどしかとれない、大変貴重な素材を使用しています。
ウールは呼吸する繊維であることから、蒸れなども防ぎ快適な着心地を保ってくれます。
冬は案外、屋内と屋外で温度や湿度が変わるので、汗をかいてしまう事も多いので、ウールはぴったりの素材です。


最後に、ベビーソフトキャメルのご紹介です。
キャメルは、モンゴルや中央アジア砂漠地帯に生息するフタコブラクダの毛です。
初めて知ったのですが、ヒトコブラクダの毛は短毛で粗いので繊維としてはほとんど使われていないのだそうです。
フタコブラクダの毛の中でも、最も細いとされる16マイクロン代の産毛を持つ繊維であるベビーキャメルを使用しています。
キャメルは、丈夫で長持ちし、お手入れの際にも縮みにくく、扱いやすい繊維です。
染めを施していないキャメルカラーのアイテムは、一層やわらかくやさしい肌触りです。
ローゲージで編まれたガウンは、普段のお洋服の上に1枚羽織っていただくだけで、落ち着きのあるカジュアルなコーディネートに仕上げてくれます。
カーディガンは、ボタンを全部留めてセーターのように着ていただけるので、着回しがききます。下に薄手のカシミヤを重ねたらとても暖かです。


暖かなニットをご紹介していると、どうしても話題は今年の冬の寒さに。。。
「今年の冬は寒いみたいね」と、お客様が口々に仰るので、ちょっとドキドキしていますが、今のうちに、暖かアイテムのご準備をお勧めします。
たくさんの種類の中からお選びいただけるのも、展覧会期中のみです。
是非、店頭でお試しいただければと思います。
ご来店、お待ちしております。
(n)

香りの記憶

2020.11.21 gallery blog

懐かしい香りは、一瞬にして私たちを“あの日”の“あの場所”へ連れて行ってくれます。

現在、/galleryでご紹介している「LO(ロー)」のキャンドルは、ファウンダーの一人でもある建築家の Tracy Longworth さんの記憶の断片を香りで表現しています。
これまでも、/shop や /online shop などでご紹介してまいりましたが、全9種類の香りが揃うのは初めての事です。
(LO のストーリーはこちらをご覧下さい→)

Tracyさんが香りで表現した記憶の断片を、パッケージデザインとして、コラージュで表現されているのが、クリエイティブディレクターの Alan Aboud さん。
こちらのAlanさんと25年来の友人である、黒田トモコさんが、私たちとLOとを繋いで下さいました。

キャンドルの作り方も伝統的な方法で、機械を一切使わず、ひとつひとつ手作業で蝋を注ぎながら作られています。
フレッシュなキャンドルを送り出す為に、一度にたくさんの量のキャンドルを作る事はされていません。
また、全て追跡可能な、信頼の置ける確かな素材を使って作られています。

factory zoomer で LO のキャンドルを初めてご紹介させていただいたのは、今年の3月でした。
ほどなくして、新型コロナウィルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令され、自宅で過ごす時間が増えたそんな時に、LOのキャンドルは、先の見えない不安や、普段と違った生活を余儀なくされ心も身体も緊張している私たちに、リラックスできる時間を作ってくれました。
ひとたびキャンドルに灯を灯したら、そこは、ローズガーデンや、広い海、爽やかに通り抜ける風など、自然の中に身を置いているかのようなゆったりとした気分にさせてくれたLOのキャンドル。
これからやってくる冬は、夜の時間を楽しめる季節です。
本やDVDを楽しんだり、ゆったりとお風呂につかる時などに、お気に入りのキャンドルを灯して楽しんでください。
場所やその日の気分で、香りを変えていただくのもおススメですよ。

9種類の香り全てがお試しいただける、/galleryへ、ぜひこの機会にお越し下さい。
出逢っていただいたお気に入りのLOの香りが、心地よい記憶として、記憶の引出しに仲間入りできたとしたら、とても嬉しいです。
ご来店お待ちしております。
(n)

お互いの良さを引き出す

2020.11.15 gallery blog

広坂の紅葉もそろそろ終盤を迎え、歩道には落ち葉の絨毯が広がっています。朝晩が少しづつ冷え込み、コートやストールなどを手にするようになってきました。そして、冬支度をしに、温かそうなアイテムに引き寄せられ、たくさんの方がANSPINNEN展に足を運んでくださっています。

今日は、ANSPINNENのアイテムの中から、カシミヤとシルクやコットンなど、違った素材同士の組み合わせのアイテムをご紹介したいと思います。
紡績の段階で素材同士を混ぜる事を「混紡」といいますが、ANSPINNENで使用している糸は、そうではなく「撚糸」。
「撚」とは撚る(よる)、撚った糸のことを撚糸(ねんし)と言いますが、基本的にニット糸は2本以上の糸を撚り合わせる、撚糸という工程を踏むのが一般的です。撚糸をしていない1本の糸を単糸、2本撚糸した糸を双糸と呼びます。撚糸することで、膨らみや強度が増し、編み目も綺麗になり、単糸を編むことで、圧倒的な軽さや、独特の風合いを表現できるという特徴があります。
ANSPINNENの違った素材同士、純度100%の糸を撚って作った素材は、それぞれの良さが生かされ、また、着用していくうちに徐々に出てくる風合いの変化も楽しんでいただけます。

スーパーファインカシミヤシルク/ブルゾン
スーパーファインカシミヤシルク/ワンピース

こちらは、カシミアとシルクの撚糸のブルゾンとワンピースです。
シルクという素材は、動物繊維の中で唯一の長繊維で、紡績して糸にするのには不向きです。
短い繊維の再上質な部分だけを集めて、紡績して作られたシルクを絹紡糸(けんぼうし)と言います。絹紡糸は空気を多く含み、軽くてふんわりとした柔らかな風合いで、シルク本来の特徴は失われず、独特の光沢、保湿性、放湿性に優れ、適温保持機能があり、夏は涼しく冬は暖かい特徴があります。紡績糸は、自社素材との撚糸にも馴染みやすく、お互いの良さを引き出すことができます。
スーパーファインカシミアシルク素材は、スーパーファインカシミアの単糸と、絹紡糸を撚糸しました。シルクの持つ光沢や機能などを一切殺すことなく、カシミアの風合いも活かした新たな素材です。カシミアオンリーよりも、肌触りがよりスムースで、シルクの保湿性によりしっとりしています。鹿子織のブルゾンやワンピースは上品な印象を与えてくれます。


ファインカシミヤバルキーコットン/ベスト
ファインカシミヤバルキーコットン/クルーネックケーブルセーター

コットンも紡績をしているANSPINNEN。コットンの軽やかさと伸縮性、カシミアの温かい糸が撚糸されることで、オンリーコットンより柔らかく、軽く、そして暖かく仕上がっています。着用していくうちに徐々に出てくるそれぞれの特徴と、風合いの変化をぜひ楽しんでいただきたいです。

エクストラファインカシミアシルク/Vネックセーター
エクストラファインカシミアシルク/カーディガン
エクストラファインカシミアシルク/ストール

こちらは、先にご紹介したカシミヤシルクのカシミア糸がエクストラファインカシミアとシルクの撚糸になります。エクストラファインカシミアは、スーパーファインカシミアよりも細い番手(糸の細さ)になりますので、より軽やかな印象があり、1年中ご使用いただける素材です。ストールはご旅行や、移動の多い方には一枚カバンに忍ばせておくのもお勧めで、くるくると巻いた状態で持ち運びができますので、とてもコンパクトになります。

それぞれの素材には、各々の特徴があり良さがあります。その良さを熟知して、そして存分に生かして制作されているANSPINNEN。それを手にした方が着用することで、風合いが変化し、より生かされていく。きっといつの間にか手を伸ばしているというのは、肌に馴染んでいる、肌の一部になっている証拠ですね。そんな一枚をぜひ探しにいらしてください。そして、おうちでのお洗濯も楽しんでいただいて、より愛着が持てる一枚にしていただきたいです。ぜひANSPINNENの冬をお過ごしください。
展覧会は11月29日(日)までになります。ご来店をお待ちしております<y>

育てるニット

2020.11.7 gallery blog

ANSPINNENさんの基盤である小金毛織さんが得意としているのが獣毛です。
獣毛は保温性や保湿性に長けているものが多く、呼吸する繊維でもある為、意外と汗をかいてしまう冬の時期の蒸れも気にならず、快適な着心地が長時間保てるのが特徴です。
風合いの変化や、着心地、糸の太さなど、もともと素材の作り手である小金毛織さんが、動物ごとの繊維の特徴などを熟知していることで、スピネンのアイテムたちは、それぞれの特徴を生かした糸を使用し、ニットに仕立てた時に着心地の良さや風合いの変化などまで、考えて作られているのだと感じました。

ANSPINNENで色々なアイテムで展開しているのが、カシミヤの素材。
小金毛織で使用しているカシミヤは、中国北西部や内蒙古周辺の最も良質な繊細で柔らかな素材を使用しています。カシミヤ山羊は寒暖の差が激しい高冷地に生息しているため、外側は太い毛で覆われているのですが、内側は細く柔らかな毛が密集しており、その産毛のみを集めたもののみを素材として使っています。
カシミヤ特有のなめらかなぬめり感と絹のような光沢があり、「繊維の宝石」と呼ばれるのも納得です。

数あるカシミヤのアイテムの中でも、象徴的なのが、たくさんの色を取り揃えたストール。
今回のDMの写真にも使用させて頂きました。
カラー展開はなんと17色!
こちらのストールは、本社のある千葉県で手動式横編み機(略称:手横-てよこ-)と呼ばれる機械で、1枚1枚熟練の職人さんが手を動かして編んでいらっしゃいます。
家庭用の手編み機などを体験された事のある方ならお分かりいただけると思うのですが、実は、手編みの機械は操作にとても繊細さが必要で、細かな調整が仕上がりに大きく影響してくるものなのです。糸調子などにも細かく配慮しながら、一定のリズミカルな速度で編んでいかないと、編み目が揃わず、綺麗に仕上げる事ができません。
手動式横編み機は、1枚編み上げるのに時間を要します。オートマチックの機械に比べると、当然ながら効率的ではないのですが、この手法で編まれたニットは、より一層、糸のふんわりとした風合いを生かした仕上げができ、だからこそ、デリケートな首もとに巻くストールに用いていらっしゃるのではないかと推測します。

使っていくうちに、サラリとしたつややかな質感から、徐々にふんわりとした風合いに変化していきます。それはまるで糸の膨らみが増すような感じで、編み目も少し詰まっていくような印象です。
最初からこの状態に仕上げる「縮絨」という加工もあるそうですが、少しずつ変化していく過程も楽しんで頂けるよう、加工としての縮絨はしていないそう。
ユーザーがお好みの風合いに育てていく楽しみがあります。

左が昨年ワンシーズン使ったもの、右が新しい状態

ストールの他にも、カシミヤ素材のセーターやカーディガン、ガウン、レッグウォーマーなど充実のラインナップとなっています。

ボタンレスカーディガンは、短めの丈がバランス良く、ロングスカートやワイドパンツなどボリュームのあるボトムスとの相性は抜群です。左右についたポケットが愛らしいアクセントになっています。薄手の編み地なので、長いシーズン活躍してくれそうなのも嬉しいですよね。

ニット素材ではちょっと珍しいフーディーやパンツは、使われているコードもニットで作られており、さりげないポイントが洋服好きさんの心をくすぐります。

糸の太さ違いで2種類あるガウン。暖かさはもちろん、ボタンをつけない事で軽やかなデザインになっています。付属のニットベルトでホールドしたり、キルトピンなどで好きな位置で留めたりと、アレンジが楽しめます。

大事に愛情を持って使って頂いたら、長く長く使えるカシミヤのニット。
その、素材の良さを実感して、シーズン毎に、1枚、また1枚と買い足していくと、仰って下さっているお客様もいらっしゃいました。
ぜひ/galleryでお気に入りの1枚を見つけて下さい。
ご来店お待ちしております。
(n)

技術と経験が編み込まれたニット

2020.10.31 gallery blog

ANSPINEN(スピネン)とは、ドイツ語で紡ぐ・繋ぐという意味の「SPINNEN」に前置詞「AN」を繋げた名前で、これは、紡績会社を基盤としている事と、一部ドイツ由来の機械を使用している事から名付けられたそう。

60年以上続く、小金毛織株式会社のファクトリーブランドとして、2019年にデビューしたANSPINNEN。
プロフィールにもあるように、小金毛織は、国内で3社しか無い、カシミヤを原料の綿から糸に紡ぐ事のできる紡績会社のひとつです。
糸を紡ぐ「紡績」から糸を撚る「撚糸」まで、自社で一貫して行っているのは、日本で唯一なのだそう。
「紡績」とは、手紬(てつむぎ)を工業化した伝統的手法による糸づくりの事で、この手紬の手法で作られたカシミヤの糸は、ふんわりと柔らかです。その技術や知識を投影させて作られた素材を使用して、大井幸衣さんのディレクションで展開されているのがANSPINNENのアイテムなのです。

小金毛織さんは、原毛のわたの状態で染色をし、それを複数の色を混ぜて糸を作っていらっしゃいます。
その事により、素材へのダメージが少なくなり、本来の風合いを引き出す事ができるのだそう。
例えば、色の糸を作る他の方法で、糸の状態から染色する場合もあります。その場合、糸の芯の部分までしっかり染まるようにするには、高い温度で染める必要があり、その分ダメージも大きく、風合いも変わってきてしまうのだそうです。
また、単色に見える色も複数の色を組み合わせる事で深みのある色が作られています。
それを聞いて、じーーっくりと近づいてニットを見て見ると、確かに、教えて頂いた通り、一見落ち着いたブルーに見えるニットも、所々少し暖色の色が見えてきます。

カシミヤとシルク、ウールとリネンなど、違った素材同士の組み合わせもANSPINNENのアイテムには多く使われています。
紡績の段階で素材同士を混ぜる事を「混紡」といいますが、ANSPINNENで使用している糸は、そうではなく「撚糸」。
違った素材同士、純度100%の糸を撚って作った素材なので、それぞれの良さが生かされ、着用していくうちに徐々に出てくる風合いの変化も、それぞれの特徴が出て来るそうなので、その部分も楽しんでいただけます。

たくさんの技術や、色々な方の経験や知識の数々が集結しているANSPINNEN。
その、いわば毛糸のプロ達が作るニット。
ぜひ、/galleryで、その手触りの良さ、着心地の良さ、心地よい素材で作られたものに包まれている至福感を感じていただければと思います。

技術を繋ぎ、作り手とお客様を繋ぐ、そんなメイドインジャパンのANSPINNENのアイテムたちを、次回から少しずつご紹介してまいります。
(n)

pagetop