STILL LIFE Ⅱ glass ⇄ plastic
kazumi tsuji + factory zoomer

Behind Story of STILL LIFE II 辻和美

展覧会は年に約4〜5回。ギャラリーだろうがショップだろうが、雑貨屋だろうが、そこのオーナーと気持ちが通じ合えば、どこだってかまわない派ではある。まず、自分がその場所にちょくちょく通っているか、オーナーとよく会話を交わしているかは、大事な要因だ。 今回展覧会の依頼を受けたKitさんも、普段から何かとお買い物をしている場所だ。オーナーの椹木女史のセレクトするモノのどこかに自分と同じツボがある。だから、展覧会の話が来た時も二つ返事で引き受けたのだが、実はそこからが大変。椹木さんからの希望は、「この色がなんか好きなんです」。と、なんかって、なんで? 選ばれた色は、確かに昔作った色だけど、私の前を素通りした色だった。 自分の展覧会だから、自分の好きなようにすれば良いと、人は言うけど、それだけなら、私はもう展覧会という形を自分の舞台には選ばないかもしれない。いろいろな場所に出向き展覧会をするのは、やはり、その場所やオーナーやお客様と、一緒の時間や風景を共有したいからなんだと思う。 そう思い直して、改めて彼女のセレクトの何が好きで特徴があるのかを考えてみた。
ー1 彼女も私も王道ではない。
ー2 古いものも新しいものもゴチャ混ぜにする。
ー3 素材の美しさや値段より、感覚的にグッとくるかどうかだ。
そう、プラスチックなどの安価な量産素材も彼女が得意とする分野だ。これを使わない手はない、思えば彼女が好きだと言ってくれた色もなんだか、ガラスにしてはプラスチックぽい。彼女のプラスチックコレクションをしばらく借りる事にした。そばに置いて眺めてみたくなった。 もともとはガラスや陶器に代わるものとして生まれたケミカルな素材に、私たちはなんだかんだと恩恵を受けてきている。これをもとに形や色を考えて、いつもの制作テーマであるSTILL LIFE(静物)を作ってみよう。決してど真ん中ではない、でもハートをくすぐるSTILL LIFEに出会えるんじゃないかと思う。

Behind Story of STILL LIFE II 椹木知佳子

数年前に行われた辻さんの展覧会「color」を見に行った時のことだった。綺麗な色や形が多く目移りしていたところ、貝殻の裏のようにラメっぽく光る作品がふと目に入った。いつもは選ばなさそうな、そんな色を手に取った時、ある人がこう言った。 ー「それはヘン子ちゃんね」 その言葉が妙に心に響いて残った。ガラスなのにそれっぽくない、異質な存在感に魅力と親しみを感じたのだ。雑貨屋という職業柄、特に専門を持たずに様々な素材やジャンルの物を触る中で、ヘンな子を見つけることがある。例えば電話線で編まれたバッグ、圧縮した紙で出来た器、プラスチックで編んだ弁当箱…これらは戦争や高度経済成長期といった時代の過渡期に、何かの素材の代用品として作られている事が多い。 私はなぜかそんな風に生まれた珍奇な物が好きで、とりわけ古いプラスチックを好んで集めている。元々は何の代りだったのだろうと想像すると楽しい。実はこの感覚は辻さんのガラスにも通ずるところがある。辻さんがどんなものを見て体験してきたのか、逆にその源を探ってみたいという気持ちが湧いてきて、常に刺激的な存在なのだ。 ある時、古いプラスチックを逆にガラスで表してみるのはどうだろうか、というアイデアが持ち上がった。いわば「STILL LIFE」(静物)という既存の作品展のスピンオフ。過去の代用品を写すだなんてナンセンスな行為が、まったく新しい創造になるような気がした。だって「新しい」と「古い」はいつだって響き合っている。 「plastic」という言葉にはもともと「形を作る」「変化したり、形を与えられたりできるもの」という意味がある。その名の通り、今という過渡期にこそ与えられる形を間近で見れそうだ。なんて幸せ者なのだろう。

kit

red
kazumi tsuji + factory zoomer

色を一つのテーマとして作品を作り始めて、8年目になる。 最初の展覧会は、白い大きなテーブルの上に50色の硝子のコップを並べた。 時代は透明硝子一色。それは、ちょっとした実験だった。 もともと、自分の好きな色を何色か選ぶことにあまり興味がない、それなら全色並べてしまえ! という始まり。そう、多分色を超えたところに見えるモノがあると信じたのかもしれない。 案の定、その展覧会の楽しかったこと。人は先天的に色が好きなんだろうな。 その展覧会に来てくれた方々の嬉しそうな笑顔、驚く瞳が今も忘れることができない。 その展示で、私自身の眠っていた感情を揺さぶったのがredだった。 制作を始める時に、コンセプトでガジガジにするのが私のクセでもあるのだが、 「ただ、好き!」という気持ちで作品を作り、発表したのは後にも先にも今のところ、 redだけだ。なんで好きなんだろう?などといろいろ考えてみたりもしたが、 うまく言葉に置き換えることが出来ない。なんか好き、なんか気になる。 そんな感情の声を素直に受け入れていくのも良いかと思いはじめた。 赤、といっても幅は広い。そして、硝子の赤はなんだか、発色が難しい。 生活にも取り込み難いかもしれない、でも「なんか好き!」という気持ちに、 お付き合いいただけると嬉しい。
辻和美

草灯舎red

夏日器皿展

小器藝廊

Tsuji Kazumi 玻璃展

展期到數三日~ 還有一些玻璃們尚未遇到知音 歡迎來小慢 品茶小憩 欣賞夏日水果般閃閃動人的玻璃們

10cm

Kazumi Tsuji + factory zoomer
GLASS HALF FULL

“Discovering the Joy of Glassware through an Exhibition of Works by Kazumi Tsuji + factory zoomer”

We will be welcoming celebrated glass artist Kazumi Tsuji, founder of factory zoomer, to New York for her first solo exhibition in the States! The exhibition coincides with NYCxDESIGN week and will include a large selection of the factory zoomer mouth-blown glassware collection for purchase. Along with the main collection will be a special series of rock-cut whiskey glasses that we have designed in collaboration with Kazumi Tsuji.

Drinkware, pitchers, bowls, plates and containers will be available, all featuring the studio’s well known hand etched glass, tinted, painted white enamel, and black cut enamel techniques. Kazumi Tsuji hopes that the collection speaks to individuals with their unique glassblown characteristics in the hopes that “people may find happiness in the palm of their hands.”

Kazumi Tsuji will be bringing confectionaries from her hometown of Kanazawa and drinks will be provided on opening night. Please RSVP with your first and last name to hello@nalatanalata.com.

Note: The collection is available in limited quantities. Items on display will be available for purchase. Pick up dates of items sold will be scheduled upon checkout and begin following the final exhibition day.

Details are as follows: GLASS HALF FULL
Poster image: Matthew Johnson

辻 和美 + factory zoomer
いつかの空気

蓋物は開ける時にたのしさがある。閉じ込めているものは、モノだけでなく、その時の記憶、思い出なども、一緒に閉じこもって行く気がする。母が剥いてくれた文旦、友人の焼いたケーキ、海で拾った小石など。--- 辻 和美



○ 4/28(金)・29(土)はfactory zoomerのcoffee standが出ます。

10cm

佇まい展

辻和美 + factory zoomer red

red 独特な存在感を持ち、活力を感じ前向きにさせてくれるアクティブな色。 五感のなかで視覚と関係が深い赤は印象に残ります。 そんな赤をテーマに、様々なトーンの赤いガラス作品と、辻和美セレクトの赤いモノが並びます。 暮らしの中に色を取り入れることで、引き立てあう風景が生まれる。 今回、スタンダードシリーズも合わせたガラスウエアの出展となります。 様々な形、柄、色を組み合わせ、自分だけの特別を楽しんでください。