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glass⇄plastic展 御菓子丸+factory zoomer喫茶のお知らせ
2026.07.23
event
7月24日(金)より始まる、factory zoomer glass⇄plastic展に合わせ、今年も御菓子丸さんと、factory zoomerによる喫茶を8月8日(土)、9日(日)の日程にて開催いたします。
今回はこの喫茶のために制作した、glass⇄plasticの新作にどんなお菓子を盛ってくださるのか、楽しみです。またとない機会となります。ぜひ、皆様のご参加をお待ち申し上げております。
※写真は前回のお菓子です
◯glass⇄plastic展 御菓子丸+factory zoomer喫茶
日時:8月8日(土)
①11:00〜(満席) 、②13:30〜(満席)、 ③15:30〜(満席)
8月9日(日)
①11:00〜(満席) ②13:30〜(満席) ③15:30〜 (満席)
料金:9,350円 (税込)
*ご予約制
ご予約・お問い合わせは、factory zoomer /life (076-255-6826)までご連絡ください
●お願い
*お席が限られておりますので、キャンセルはご容赦ください。キャンセルの場合は代理の方のご参加をお願い致します。
8月の営業日
2026.07.23
calender
fctory zoomer /life 8月の営業日のお知らせです。
7月24日(金)から開催のfactory zoomer glass⇄plastic展は、展覧会初日24日(金)終日と25日(土)の15時までは、ご招待制となっております。招待状をお持ちでないお客様は25日(土)の15時以降からご入店いただけます。
また、8月8日(土)、9日(日)は、今年も京都の御菓丸さんにお越しいただき、喫茶イベントを開催いたします。glass⇄plastic の作品から発想されたお菓子や、お菓子に合わせて新たに制作したガラス作品など、今回も特別なひとときをお過ごしいただけることと思います。喫茶の詳細やご予約方法などは、追ってホームページやインスタグラムでお知らせいたします。
open time 12:00ー18:00
カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。
イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。
8月も皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げております。
93rd exhibition glass⇄plastic
2026.07.24 fri.- 09.06 sun.
12:00→18:00
photo by suzuki shizuka
今回のテーマ「glass⇄plastic」は、わたしのナンセンスな遊びから始まっている。雑貨屋さんで見つけた古いプラスチックのコップは、もとはというとガラス製品だった。代用品として生まれたプラスチックを再びガラスに戻してみたいという小さな欲求の裏で、プラスチックという現代の量産素材を、吹きガラスという手工芸で逆写しすることで生まれる、新たな視点、物の価値、完成品の美しさを目指した。人によっては、行き過ぎたプラスチック製品の大量生産、大量消費への警鐘か?など社会的テーマを感じる方がいるかもしれない。またある人は、ガラスとプラスチックの色が類似しているところに美しさを見つけてくれるかもしれない。このテーマは、作家にとっても思考と制作と出来上がりのバランスが良く、幸福感がある。ほんとは、その幸福感がわたしは、一番大事だと思っている。 辻 和美
●初日の7月24日(金)終日〜25日(土)15時までは、招待状をお持ちのお客様のみのご入場とさせていただきます。
招待状をお持ちでないお客様は、7月25日(土)15時以降にお越しください。
◯イベントのお知らせ
8月8日(土)・9日(日) 御菓子丸+factory zoomer 喫茶(要予約)
※予約方法など詳細は追ってInstagramなどでお知らせいたします
対談「lifeを探して」⑲「理想を支える職人の手の力」
2026.07.13
interview
対談「lifeを探して」の19回目は、factory zoomerの「glass⇄plastic」展にちなんで工房のツートップを交えた特別編。工房には制作に携わる5人の職人スタッフがいますが、今回は、辻和美の制作を補助する吹きガラスのリーダー岡田歩、カットから工程管理まで担う工房長の島元かおりにスポットを当てました。
(対談は2026年7月、金沢市内の工房事務所で行った。構成・鈴木弘、写真・沼田万州美)
辻:2人はズーマに来てどれぐらい経ったかな?
岡:入ったのは25歳の時だから確か2005年です。最初はアルバイトでしたけど、今年の3月で丸21年になりました。
辻:そんなになるのね、早いねー。
島:私は大学を2014年に卒業してすぐ入ったから今年の3月で12年が経ちました。今年は13年目です。
辻:干支が一回りしたね。2人は最初は、大学でガラス工芸を学んだんだよね。出身校はどこだっけ。
島:長岡造形大学(1994年開学)の美術・工芸学科です。今は公立になりましたけど、私がいた頃は私立の学校でした。働いて奨学金を返しました。
岡:私は倉敷芸術科学大学(1995年開学)です。まだ出来て新しい所でした。実家が岡山で割と近かったので。
辻:私が留学から戻って就職した金沢卯辰山工芸工房ができたのが平成元年(1989年)でしょ。あの頃は全国でガラスがブームというか、専門の教育機関が次々にできて、ガラスを専攻する学生が増えた時期だったな。倉敷や長岡もそうだよね。それで、2人がズーマで働くことになったきっかけは?
岡:大学4年の時、ガラス作家の大村俊二さんのワークショップに参加して、そこに講師として来ていた和美さんにお会いしたのが最初です。そこからのご縁ですね。
島:私は長岡の中村(和宏)先生から「和美さんがスタッフを探してる」って聞いて、それで紹介してもらいました。
辻:2人は、何でガラスを制作の素材に選んだの? 素材と出会った経緯は?
岡:高校は家政科だったんですけど、実は美術系に興味があって。父親の同級生が北海道にいて、その伝手でガラス工房をいくつか見せてもらい、制作の行程に魅力を感じ、そこから倉敷の大学を目指すことにしたんです。絵の塾に行って一夜漬けみたいな受験でしたね。
島:私はシンプルですよ。元々は絵画志望だったんですけど、高校時代に和美さんの作品を見て、こんな絵を描こうと思ったんですけど、平面じゃ表現しきれなくてガラスにしようと長岡の大学に行ったんです。そこで吹きガラスをするつもりが、学校の事情でできなくて。そんな時に和美さんが授業に来て、いろいろ作品を見せてくれたんです。その中にあったしのぎの作品が特に印象的でした。
辻:廣島(晴弥)君がカットしたしのぎだね。
島:あれを見て「これだ」って思ったんです。それで私はカットでいこうと決めました。辻和美でできてるんですよ、私は。
辻:なんだよ、それ、嬉しいなー。じゃあ自己紹介を兼ねてそれぞれの現在の仕事や役割を話して。
岡:まず吹きガラスで作品を作ること。そして和美さんがブローする(吹く)時のアシスタントですね。ホットショップ(溶けている熱いガラス)の仕事です。他のスタッフへの制作の指示や機械の管理も担当です。あとは作品の梱包やお客さまへの発送もします。
島:私はコールドワーク(成形された後の冷えたガラス)全般です。主に作品のカットと研磨ですね。他にスタッフのシフト管理やら何やらを工房全体を見ながらやってます。あとはワンコのお世話を。
辻:ワンコの世話はうちの工房では大事だからねー。(笑)
島:制作の話で言うと、吹きで形ができた後、冷めて炉から出てきたガラスはほぼ全て私の管轄になります。
辻:すごいね。その意気込みは素敵! 私は、ホットワーカーとコールドワーカーがちゃんと常時いる工房が昔から理想だったんだよね。吹いた形に、表面の模様をカットでつけたり、仕上げをきちんとする。安定感のある座りの良い器を提供したいと思っている。で、2人は、職人として働く上で一番大事にしてることは何?
岡:自分が任された仕事はやり通す、ってことですかね。あと作った作品をチェックするんですけど、お客さまの手元に届いた時に喜んでもらえる仕上がりかどうかを判断することが大事だと思っています。
辻:素晴らしい。島ちゃんは?
島:カットにしろ模様つけにしろ、自分の好みはいったん脇に置いといて、和美さんのイメージをそのまま反映できるように、和美さんの頭の中のデザインをガラスの作品に全て落とし込むことを一番に考えています。研磨に関してはガラスの状態がどんなものでも簡単に捨てない。傷を直したり、傾きを修正したりして、何かしら作品に昇華させて、お客さまの前に出すように意識しています。
辻:島ちゃんは、作ったモノは、ちょっと曲がってたりしてもすぐに捨てないね。あとで、何かになるかもしれないものね。「秘蔵っ子」とか言って、隠してるよね。工房を運営している側からすると大事なことだよ。ところで、私と一緒に働く難しさって何?
岡:和美さんが理想と現実の間で頑張ってるのをサポートすることですかね。
辻:ありがとうございます。いつも大変だよね。そう、クリエイティブは理想と現実の間を行ったり来たりしてるんですよ。制作の面でも金銭の面でも。
島:和美さんがしたい模様と私の持ってる技術とのすり合わせは確かに大変ですけど、そこが楽しい部分でもありますね。仕事をしていて一番楽しい時間かも。
辻:2人ともうちに勤めて長いけど、印象的な失敗談とかある? 苦労話でもいいよ。
岡:もう15年ぐらい前だと思うんですけど、仕事終わりのルーティンで徐冷炉のスイッチを押し忘れて、次の日に来たら100度以下に下がっているはずの温度が500度のままで、冷めるまで制作できないという失敗がありました。それも加倉井(秀昭、ギャファー)さんが大物を作りに来ている時で皆さんに大変ご迷惑をおかけしました。
辻:ああ、あれか。ルーティンが一つ抜けちゃったんだよね。そんなこと気にしてたんだ、ずっと、バカだな〜。
岡:そうです。ボタンを2から3にしないといけないのをステップし忘れました。もうトラウマみたいになって、あれから家に帰る前に3回は確認するようになりました。それでも心配で工房にまた戻って再確認したこともあります。だって次の日、作業ができないし、電気代もかかるし。
辻:まあねー。他に制作の上での苦労話はどう。
島:展覧会で目玉になるような、加倉井さんが作る一点ものがあるじゃないですか。あれの底が割れちゃって大きくヒビが入ったのをどうにか全部削って別の形にしてなんとか作品に仕上げたことがありました。
辻:割れてるとこ全部削ったんだよね。
島:一部だけ削るとそこだけ直した跡が目立つから。本当は丸い形だったのを抉ってシャープな形に作り変えたんです、コールド側の仕事として。展覧会のメインを無くすわけにはいかないから、あれはプレッシャーでした。失敗談はいっぱいありますよ、もう数えきれないほど。業者さんへの発注をミスったり、掃除の時にペンキをぶちまけたり。制作に関しては色んな人に怒られてきました。挫折もしました。泣きながら「すみません」って言ったら、和美さんから「謝る言葉はいらないから」って返されたこともあったし。
辻:えー覚えてない。何で泣いたんだっけ。
島:大学出たてで、最初は磨きの仕事ができなかったんです。慣れないし、覚えられないし、仕事の量は多いし。それで。
辻:じゃあ今の20代のスタッフ見てると懐かしい感じがする? 自分もそうだったな、って。
島:そうですね。
辻:それでズーマはこのところ中国茶の器や道具に取り組んでるわけだけど、新しいテーマが出てきた時の気持ちって、どんな感じ。
岡:やっぱり頭の中では現実的なことを先に考えますね。課題と技量をすり合わせる中で、ああ大丈夫かな、やっぱり無理かなって。最初から安全策でいくのはあんまり良くないかもしれないけど。
辻:いやいや大丈夫。制作班としては作品として成立させなきゃいけないわけだから現実は大事。私は思考する方だから、どっちかと言えばぶっ飛んでくわけですよ。現実を考える人がいないと作品は完成しないからね。
島:私は一緒にぶっ飛んでいくタイプなので。面白そうと思ったら、あれもしましょう、これもしましょうって言って、後で皆んなに怒られる。
辻:そういう意味ではいいバランスだよね。ぶっ飛んでるのと抑えるのとが一緒にいて。それで今回の展覧会「glass⇄plastic」(グラスプラスチック)に関して、始めた時はどんな風に感じた? これはガラスの代替品として生まれた古いプラスチックのコップをもう一回ガラスに戻すっていう、私のちょっとした遊び心で2017年から始めたシリーズなんだけど。
岡:別にそんな驚きはしなかったですよ。
島:そう、想定内というか。
辻:はいはい、って感じ?
岡:不透明な色をちょっと薄めたりするんだな、和美さんらしいな、みたいな。
辻:作品自体がきれいだし、プラスチックみたいなガラスという驚きもあるだろうし、この逆写しが見る人の価値観を刺激してるんじゃないかな。少しずつ中身を変えながらあちこちで発表してるけど、いつもお客さんの反応はいいよ、楽しんでくれてるみたい。それでグラプラの制作で特に気を付けてることは何かある?
岡:今回はイベントで御菓子丸さんが使う新しい器がありますよね。あの器は形がとても重要なのかなと思っています。形の綺麗さを追求したいと考えています。
辻:うん、そうだね。あと発色が難しいよね。前と同じ番数を使ってるのにガラスの色が安定しない。色を作る海外の職人の問題じゃないかと思うんだけど。
岡:特に派手な色ばかり割れるんです。同じ番数でも個体差が結構あって。
辻:代替色を探して作ったりしてるよね。御菓子箱みたいな形もあるけど、あのカットは難しくない?
島:私はプラスチックの見本にできるだけ忠実なサイズを出してカットできるようにしているんですけど、うちの工房にある機械でできる範囲があるから、それを確認しながらできるかどうか和美さんとすり合わせをするようにしています。
辻:ほとんどそのものみたいに写すものもあるけど、元の形の要素を取り入れながらデフォルメするものもあるし。ガラスで作った時に違和感がないようにしないといけないからね。
島:私はカット模様つけなので、ブロワーさんたちには「もう少しここを肉厚にしてほしい」とかいうリクエストはあります。ある程度の厚みがないと削れませんから。
辻:まあプラスチックの逆写しとは言ってるけど、実はうちがスタンダードでやってることを上手く応用していく。自分たちが持ってるものと共通した部分を見つけてうまく当てはめていく。ぶっ飛んでるとは言いながら、現実的なことも考えてるんだよ。いきなり新しい形は作らないでしょ。そこはちゃんと計算してるつもり。
辻:色に関して言えば、プラスチックが経年変化してくすんで薄茶色くなるじゃない、タバコ色に。うちではFRPって呼んでるけど。あの色が私は好きでよく使ってるよね。FRPは色が濃くても薄くても綺麗だから、今回もいっぱい使いたいかな。一見汚く見えるものがよく見ると実は綺麗だということをお客さんに見つけてもらいたい。あとピンクのペットボトルも作るよ。
岡:このシリーズは半透明な仕上がりだから、透明なガラスに少ない量の色をきせるのが難しいですね。ムラなく均等に色をつけるにはやっぱり慣れが必要で。ガラスを巻いた竿の先につける色はほんとに豆粒ぐらいの少量ですから。重さにしたら1グラムとかそれぐらいじゃないですか。
島:コールドの作業場から見ていても、色は難しいなと思います。でも会場にカラフルな作品が並ぶとおもちゃ屋さんみたいで楽しいですよね。
辻:出来上がった作品がハッピーな感じ、幸せ感があるよね。作品自体が可愛らしくて、見てて気持ちが明るくなるような。そういう人に幸福感を与える作品って大事だと思う。だからどこの会場でもお客さんに喜んでもらえるんじゃないかな。
<略歴>
岡田歩(おかだ・あゆみ)1980年、岡山県生まれ。倉敷芸術科学大学卒業。金津創作の森ガラス工房(福井県)で2年間ブローを修業。2005年からfactory zoomerのスタッフとなり、現在は吹きガラスのリーダーを務める。
島元かおり(しまもと・かおり)1991年、群馬県生まれ。長岡造形大学卒業。在学中、江戸切子で知られる気賀沢雅人氏にカットの技術を学ぶ。2014年にfactory zoomerに入り、カットや研磨の腕を磨く。工房長として制作のほか工程管理やシフト調整も行う。
<編集後記>
前回の対談に登場した奥村忍さんがそうだったように、2人のスタッフもまた作家や作品との出会いがその後の人生を方向付けていました。ズーマが送り出す作品も手にした人にとって何かのきっかけや力になれば、それは作り手冥利と言えるでしょう。(鈴)
93rd exhibition
glass⇄plastic
2026.07.24 fri. — 09.06 sun.
●初日の7月24日(金)終日〜25日(土)15時までは、招待状をお持ちのお客様のみのご入場とさせていただきます。招待状をお持ちでないお客様は、7月25日(土)15時以降にお越しください。
/lifeのスタッフを募集します
2026.05.22
news
金沢のガラス工房factory zoomerのコンセプトショップ factory zoomer /lifeが犀川のほとりに出来て2年が経ちました。ガラスをはじめ衣類や喫茶などと人の暮らしに寄り添うモノやコトを紹介し、県内外から何度も通ってくださるお客様にもめぐまれてきました。3年目が始まったこの節目に、今回この空間で一緒に働いてくれる方をチームの一員として迎えたいと考えています。ぜひお問い合わせいただけると嬉しいです。
(ガラス作家・代表取締役 辻和美)
■店舗スタッフ 募集要項
【 雇用形態 】アルバイト(週3日程度)
【 仕事内容 】
店舗運営 全般
・お客様対応全般(お問い合わせ対応・制作チームとお客様の掛橋など)
・工房で制作されたガラス食器の販売及び受注
・辻和美セレクトによる衣類・食器・食品など生活にまつわる作家作品やメーカー商品の販売・在庫管理
・オンラインショップ運営(受注処理・梱包発送・在庫管理等)
・SNS等の更新
・中国茶稽古の運営。稽古準備、参加者管理等
・定期入荷するパンや食品類などの販売準備・販売
・その他、店内清掃などの雑務及び、日々の売上管理等の事務作業
【 応募資格 】
・金沢市に住所がある方、または転居予定の方
・体力に自信のある方
・笑顔で働ける方
・長く働ける方
・お客様の立場になって考え、対応できる方
・車をお持ちの方優遇(運搬などで使用していただく場合があります)
【 募集要項 】
時 給:1,100円から 経験・能力により優遇
勤務時間:10:00~19:00の間で時間・曜日 応相談(火曜・水曜は定休日です)
待 遇:交通費規定内支給、勤務時間数により社会保険加入あり
【 勤務地 】
・factory zoomer /life(金沢市清川町 3-18)
■ご応募について
履歴書と志望動機、連絡先の電話番号をまとめ下記担当までお送りください。書類を拝見後、面接をお願いしたい方のみご連絡させていただきます。
※応募書類は、採用選考の終了後に当方にて責任をもって破棄いたします。
応募書類送付先:〒921-8032 石川県金沢市清川町3-18 factory zoomer /life 担当:沼田 宛
またお問い合わせは以下のメールアドレスにて受け付けます。
info@factory-zoomer.com
6月の営業日
2026.05.22
calender
fctory zoomer /life 6月の営業日のお知らせです。
5月29日(金曜日)から、国内外の民藝品を紹介するオンラインショップ「みんげい おくむら」の展覧会を開催いたします。factory zoomerでご紹介させていただくのは今回が初めてとなり、中国の古い茶道具を中心に、木工品や金属などをご覧いただける楽しい展覧会になりそうです。
みんげい おくむら展に合わせて、店主の奥村さんと兼ねてからご友人である、chanowa 出野尚子さんのお茶会を開催いたします。お茶会のご予約はお電話にてお受けいたします。tel:076-255-6826(factory zoomer /life)
お茶会の詳細や予約状況につきましてはこちらをご覧ください→●
open time 12:00ー18:00
カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。
イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。
6月も皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げております。
対談「lifeを探して」⑱奥村忍「届けたい 暮らしを照らす手仕事」
2026.05.22
interview
対談「lifeを探して」の18回目の相手は、手仕事から生まれた生活道具を扱うWEBショップ「みんげい おくむら」店主の奥村忍さん。1年じゅう国内外の産地や作り手を訪ねて奥村さんが追い掛ける民藝(民衆的工芸、民芸)とは何か、古物好きでショップの利用者でもある辻和美が聞きました。
(対談は2026年4月、千葉県船橋市内の「みんげい おくむら」事務所で行った。構成・写真 鈴木弘)
辻:factory zoomer /lifeでは初めての展覧会になります。まず「みんげい おくむら」とは何か、どういう経緯でオープンしたのか、そのあたりから教えてください。
奥村:僕は今45歳ですけど、20代半ばに「民藝」という言葉に出合いました。ただ言葉を知る前から、実家では沖縄とか益子(茨城)とかの器を使ってました。母親が好きで、家には民藝のものから作家もの、ロイヤルコペンハーゲンとかウェッジウッドとか色々ありました。
辻:そういった器に小さい頃から接してたんですね。
奥村:だから意識せずに民藝のものとは交わってました。それで20代半ばに大阪で暮らすんですけど、もともと転勤はない前提で入社したから、まあ1年ぐらいだろうとマンスリーマンションに引っ越したんです。そしたら家財道具は全部揃ってるけど何一つ好きじゃないんですよ。で苦しくて。何だろうこれはと思ってた時、大阪の友人から引越し祝いのようにしてガラスのコップをもらったんです。
辻:作家ものですか?
奥村:個人でやってる大阪の作家さんのです。で、そのコップが1つ家に入ってきた時にパーンと何かが変わったんですよ。千葉の実家だと自分の部屋は自分の好きな物で構成されてるから居心地がいいじゃないですか。でも何の縁もゆかりもないものばかりの所に放り込まれたら、こんなにストレスなのかって思ってたんです。
辻:当時はどんな仕事をしてたんですか。
奥村:雑貨のメーカーで営業やってました。
辻:生活環境が一変した上に、無機質な空間にいるのがストレスだったんですね。
奥村:僕はすごく本を読むから新しい家でもどんどん本を買ってたんですけど、その中に民藝の本もあって、自分が暮らしに対して思ってることと民藝の先人が書いてることがすごく近い部分があるなと感じてたんです。民藝の人たちは、その手の仕事を生活に取り入れることであなたの暮らしが良くなりますよ、って言ってて。20代の自分は疲れ果てて帰った時でも好きなものがあると生活に潤いを感じる。じゃあ自分が好きなものは何だろうって考えた時、実家の暮らしを振り返ると食器は民藝のものだったんですよ。家では沖縄の器とかを選んでました。読んでる本と実家で使ってた食器はリンクしてるなと思って。それで関西だから週末ごとに西日本各地を旅してたんです。砥部焼(とべやき、愛媛)とかの産地だったり、民藝的な所だったり。作り手に自分と近い世代の人がいるのが面白かったんです。
辻:手の仕事はおじいさんがやるもんだと思ってました?
奥村:そうですね。もっと上の人たちかと。それで若い人たちの作ってるものが結構かっこいいし、いいなと思ってちょこちょこ買って帰るわけです。それで大阪の1人暮らしの家もそれなりに充実してきて、料理の腕も少しずつ上がっていくんです。あの頃、東京の銀座にある老舗の民藝店にも行ってみたんですけど、そういう所は新しい風が吹いてなくて、これじゃ全然みんなの目に届かないぞと。
辻:それでWEBショップを始めたんですか。
奥村:当時、インターネットで物を売ることが普及し始めていて。じゃあこの手法で自分が民藝のものを紹介したら、老舗とは競合しないだろうし、民藝の仕事を知る人が増えていいんじゃないかと思って。それがスタートです。民藝運動を提唱した柳宗悦(やなぎ・むねよし)に「手仕事の日本」っていう有名な本があって、柳の時代の手仕事の全国マップなんです。僕もこれを頼りに各地に行くんですけど、もう結構ないわけですよ。90年前の世界と今の世界では当然ものすごい変化があって、生活の変化の中で無くなっていく手仕事がある。それなのに民藝の本筋の人たちは、いまだに民藝の漢字表記が旧字か新字かなんて議論してたり。うちが民藝をひらがなで書くのは、そこに繋がるんです。
辻:どうして「みんげい」なんだろう、って思ってました。
奥村:問題はそんなことじゃなくて、もっと大きなところで民藝が直面しているものとか、もっと今の普通の暮らしをしてる人たちに伝わることがあるんじゃないかな、っていうのが「みんげい おくむら」の出発点です。
辻:奥村さんも紹介されてますが、民藝運動では「少年民藝館」(外村吉之介)という分かりやすい本もありましたね。あの本私も好きです。
奥村:柳の本は非常に難解なところがあるし。具体的なものを離れて「論」になってしまってる部分は誰にとっても難しいですよね。それをどれだけ易しく伝えるかというところで書かれたのがあの少年民藝館です。実際の世界中のものを通して子供に分かるような表現で書いてるから、自分にとっても1つのバイブルです。民藝を生活に取り入れることで自分たちの心掛けが変わって、それによって生活がより良くなる…。
辻:最初の話に出てきた民藝の理念ですね。
奥村:それはいたずらにものを集めることじゃないんですね。僕からすると自分の大阪時代の経験でゼロが1になった瞬間にすごい変化がありました。店を始めた2010年の段階でも民藝って少し重心が低いもので。例えば家具を松本で揃えて民藝店から食器とか色んな物を買って、それだけで暮らそうとするとちょっと重い。
辻:確かに、今の時代には重たいです。
奥村:柳宗理(柳宗悦の長男、インダストリアルデザイナー)はプロダクトの人っていうのがあって、民藝本体は宗理さんとかプロダクト、無印(無印良品)に通じるようなものを受け入れられなかった。だけど僕らの生活はもうそっちにいってる。だからどんな比重で民藝を生活に取り入れるかは、人それぞれだと思うんです。古民家に暮らす人は民藝的なものを7、8割やるかもしれないけど、都会のマンションに住んでる人が民藝を揃えてもチグハグになる。どれだけ民藝を持ってるかじゃなくて気持ちの問題で。限りある資源の中から人の手が生活のための道具を作り出してることがすごく尊いことで、自分の生活の中に取り入れること自体がすごく意味のあることで、その比重がどれぐらいかはそれぞれの生活とか経済とかで変わっていくことだと思います。
辻:奥村さん自身はどうなんでしょうか?
奥村:僕が今、民藝において最も重要視してることは、その土地なんです。その焼きもの、その工芸がそこから生まれている理由。だいたい焼きもの産地って農業もやりにくいような土地で、そこから生まれる粘土でものを作って暮らしてきてる。決して恵まれた土地じゃないんだけど、何百年という歴史の中で地元にあるものを人間の頭や手の工夫で色んな形にしていったわけです。それがたまたま生活のための道具であったということで。だから僕が今、民藝の中ですごく大事にしているのは、その土地であったことをどれだけ表現できているか、なんです。
辻:ちょっと料理と似てますね。
奥村:そうなんですよ。ワインの言葉を借りると、いわゆる「テロワール」に近いようなね。民藝の条件の1つに廉価、一般の人が買いやすい、ってことがあるんですけど、それだったらとっくにプロダクトになってるわけじゃないですか。
辻:確かに。
奥村:でもプロダクトを否定した。それはどうしてかと言うと、安く売るよりも大事なことが当然あるからですよ。僕はそこに土地性、その土地をその土地の素材で表現してるということがすごく重要だと思っていて。実際、ここ10年ぐらいの民藝のものの値上がりを見ると、到底庶民のものではないですよ。
辻:そんなに値が上がったんですか。
奥村:そう。よく裏山で土を掘ってきて焼けば原価タダでしょとか、ガラス瓶を酒屋からもらってきて砕いて溶かしたら原価タダじゃないかって言う人がいるけど、冗談じゃない。そこに付随する作業、使うエネルギー、どれもが原価で、それをピュアにやればやるだけものすごいコストがかかるのに、あんまり顧みられない。民藝の人たちが苦しいのは、庶民のものだっていう考えに作り手自身が縛られているからなんですよ。
辻:民藝の人たちは多分その辺に使命感を感じてるんじゃないですか。
奥村:でもね、廉価であることを大事にすると、作る中で大事なことが抜けてくるんですよ。例えば薪窯を捨てるっていうのも1つの選択肢で時代の変化でね。薪窯から灯油窯、ガス窯。よりやり易い方向に向かってきてる人たちがいるのも事実です。
辻:じゃあ奥村さんが民藝のものを選ぶ基準は? オンラインショップでは何を売ってるんですか。
奥村:実際、お店を始めた時はプロダクトもやってたんですよ。それは自分の生活がそうだったから。どっちもいいっていうのを、自分のお店で表現したかったんです。
辻:基準の1つ目は自分ですか。
奥村:結局、自分の生活の中からしか見えてこないわけですよ。だから店を始めて7年目で子供が生まれたことで視野がだいぶ広がったんですけど。そうやってお店も当然変化していくけど、基本的にはやっぱり自分がまず中心にあります。そもそも「みんげい おくむら」って名乗ってますしね。
辻:2つ目は日々の暮らしね。
奥村:ただ心地が良いということだけではセレクトにはならないんですよ。プロダクトはよく考えられてて、誰の暮らしにも当てはまる最大公約数的なところに落とし込んでくんだけど、手仕事のものはそうなりきらないところが当然あるんですよね。例えば小鹿田焼(おんたやき、大分)の皿は重ねて焼くからどうしても深さが出るんです。これを飲食店に持ってくと「もうちょっとフラットだったら料理が盛りやすいんだけどな」って言われる。でもこれを重ねないで焼くと空間が余るわけです。窯の容積を無駄にする。手仕事である以上、誰かの生活にとってベストじゃないかもしれないけど、作る上での制約条件を僕らが受け入れてあげる方がいいじゃないですか。
辻:結局、奥村さんが選ぶ民藝はどこがポイントなんですか? 何が奥村さんのハートを掴むんでしょうか。
奥村:やっぱり基本的には土地性ですよ。それが1番大きい。それを外したら、個人作家さんのセレクトショップでいいわけですよ。土地性、その土だからできてくる形とか色とかね。
辻:それは旅が好きなのにも繋がってますか?
奥村:そうです。
辻:なるほどね。すごく可愛いのもあるし、骨太なのもあるし、どこを見て何を基準に選んでるんだろうって思ってました。
奥村:まあ可愛いのはね、どうしても入り口に必要ですから。
辻:私はずっと入り口の方にいるかもしれない。それで日本だけじゃなくて、中国とかアジアを旅してその土地の民藝を紹介する理由は何ですか。
奥村:その手の仕事を本当に生活で使ってる、生活自体が残ってる、ってことです。柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう、染色工芸家)さんが93、4歳の頃にお話を伺った時に「もう日本には生活がないんだから、民藝なんて言葉に騙されるな」「本来の民藝なんてもうないんだから、そんなところから早く脱却しろ」って言われたんです。いくら道具を作り出しても生活の実感がない、っていうのは本当で。僕らはそれをただお金で買ってるだけだから、結局SNSを意識した編集合戦になるわけじゃないですか。
辻:はい。
奥村:僕とすれば、その言葉に出合う前からアジアの僻地で電気が通ったかどうかって所でお金に頼らなくても100パーセント生きていける人たちを見てるわけですよ。動物を飼い、糸を紡いで服を作り、畑と家畜で食べるものは賄えて、明日この世界からお金が消えても自分たちの暮らしは続いてくみたいなね。
辻:それは強いですね。
奥村:でも僕らも3.11の時、1回それを考えたわけじゃないですか。電気がこなくなって火も起こせない。食料はコンビニも空になって。少しでも生きてる実感が必要だから都会の人たちも畑を借りたり。でも、それって道具だけじゃダメなんですよね。お金があって道具を自分の生活に編集するだけでは空虚な話なんです。ちょっと矛盾するけど、その心掛けがあったとしても、そこに生活がなかったら意味がない。で、そういうのを自分で見に行きたいし、見に行くことでその人たちの生きる力から何かをもらいたい。
辻:その人たちのエネルギーをまた仕事にフィードバックしていく。やりがいだらけですね。
奥村:そうです。リアルの売り場と僕がやってる売り場の違いは何かと言うと、インターネットの売り場はいくらでも情報を出せるじゃないですか、文字と写真で。それを読む読まない、影響を受ける受けない、は相手の勝手なんだけど、少なくとも僕としては伝えたいことを残していける。これがすごく大きいと思うんです。
辻:確かに。私は奥村さんの言葉で買い物してますね。
奥村:買い物の体験って面白くて、リアルの店に行ったからって1つのものをどこまで理解して買ってるか、ってことなんですよ。例えば見落としもあるわけじゃないですか。リアルだからって別に100を理解して買ってない。でも理解して買ってないからこそ、その先に面白さがあったりするんです。自分が気付いてない何かが届いてみたらあって、意外とこうだよね、みたいな。
辻:私はリアルショップが1番だと思ってるんですけど、それが一番良いわけじゃないと今初めて思いました。セレクトしてる私は店にいつもいるわけじゃない。それより、ちゃんと書いて伝えられる店主がいるオンラインの方がいい場合があるかもしれませんね。ここは勝負ですね。(笑)
奥村:そこは面白いところですよね。うちの場合、すごく大事にしてることの1つに、商品の写真を白バックでなんてことなく撮る、ってことがあります。いいイメージを作っちゃうと、届いた時「なんだ普通だなー」ってなっちゃうんですよ。そこで盛り上げた方が売れるかもしれない。だけど僕はやっぱり伸びしろが好きだから、写真なんかつまらなくていいんです。過不足なく写ってれば。
辻:それはさらに強敵ですね。それで中国の話になりますが、旅した中で1番気に入った場所はどこですか。
奥村:やっぱり中国では原点である貴州省ですね。暮らしが1番残ってる。隣の雲南省はとにかく豊かなんです。食材、山、水、土、どれも本当に素晴らしくて。貴州省の人たちは逆立ちしても勝てない。地形が暮らしにくいんです。例えばミャオ族の人たちはもともと北京に近いぐらい北にいたんですね。それがどんどん迫害されて逃げていって、最終地点が貴州の山の中だから、もう追っ手が来ないぐらい暮らしにくい場所なんです。米は作れない、塩も取れない。そういう中でものすごく工夫して生きてきたわけですよ。暮らしの知恵、生活道具、食文化の素晴らしさ。アジアの色んな国を旅した中で最もピュアかもしれないですね。
辻:なかなか簡単に行けそうな場所じゃないですね。
奥村:貴州はハードです。トイレ問題とか、ホテルの快適さとか。まあだいぶ変わったと思うけど。自分にとっては本当に心のふるさとですね。去年、雲南省に5回行ったんです。キノコの季節に合わせて4月から9月ぐらいまでに集中して。うち2回は途中か最後に貴州省に行ったらホッとするんですよ。びっくりしました。自分の本能に訴え掛ける何かがあるんでしょうね。「帰ってきた」って感じがするんです。
辻:貴州には何回ぐらい行きました?
奥村:20回は行ってます。1回の滞在は短くて1週間ぐらい。
辻:全部足すと1年くらい住んでる計算になるかもしれませんね。
奥村:去年は1年間で100日以上は中国にいたから、通算したら余裕で。それで生活が残ってる、っていうのをもう少し噛み砕くと、貴州には極端な話、日本の江戸時代ぐらいの暮らしが残ってて、それ以外の田舎は多分ほとんど日本の戦後なんです。日本は高度経済成長期が来て、柳の本に載ってる手仕事たちがどんどん消えていった。その局面に中国もいるわけです。
辻:消えていく中国の手仕事ですか…?
奥村:自分の本の3作目がまさにそこに通じるんですけど、柳宗悦から80年、90年の時を経て、「みんげい おくむら」が生まれた。そのポコっと抜けた間が今の中国にあって、自分は多分それを見てるんだと思うんですよ。
辻:貴州では何を買うんですか。
奥村:主に布関係です。それから布や民族衣装に付随する装身具、銀細工とか。それを追い掛けてたら、いつも布を買いに行く所の隣町に焼きものの産地があったんですよ。それも現在進行形の産地。まだ4代、100年ちょっとの。それも貴州のど田舎に漢民族なんです。
辻:それは珍しいことなんですか。
奥村:中国の焼きものの歴史を見ると面白いんだけど、江西省に景徳鎮という一大産地があるわけですよね。そこの技術を持った人たちが何らかの理由で各地に行ってるんです。招かれた人もいただろうし、半ば夜逃げみたいな人もいただろうし。そういった中でその貴州の田舎町にもわずか4代しか続いてない焼きものがあって、それが日本の民藝以上に民藝的で僕はめちゃくちゃ好きなんです。この産地が面白いのは、ろくろじゃなくて鋳込み型で作るところです。
辻:型で焼いてるんですね。
奥村:ろくろは酒瓶とかを男衆がいまだにしてるんですけど、型は女性の仕事で。型だと一日に何百個もできるんですよ。
辻:それだとすごく安く作れます。
奥村:そう。だけど、薪窯で焼いてる焼きものの良さはちゃんとあるんですよ。やっぱり日本は陶芸大国だから、産地が型の仕事を積極的に取り入れることに精神的タブーがあるんですよね。でも僕はこれがすごい民藝だと思うんです。だってこれ窯からの出し値が一枚20円とかですよ、この時代に。それをうちで1400円で売ってるんだけど、ほぼ輸送賃です。で、これが今駆逐されつつあって。貴州にも高速道路が延びて、もっと安い産地から味気ない焼きものが大量に入ってきてて、負けそうになってるんです。
辻:それでこっち側の話なんですが、日本で2000年代ぐらいから作家の自己表現じゃなくて人の暮らしをベースにした、もの作りが盛んになって、私たちは「生活工芸」と呼んでますけど、奥村さんからはどんなふうに見えますか。
奥村:生活工芸はすごい痒いところに手が届いてて、民藝でいう形とかの制約条件を軽く飛び越えたもの作りですよね。個人的にも三谷龍二さん(木工家)のものを含めてたくさん見てるし、生活工芸が好きな人のお宅なんかで見るとやっぱりよくできてる、って思うんですよね。すごくいい。
辻:マイナス部分も気にせず言ってください。
奥村:うん。やっぱり僕の追い掛けてるものは、しっかりと地球に根っこがあって、その根っこ故に重心の低さがあるんですよ。これは選ぶ人の好みの問題で、どっちがいいとかじゃないから。僕はあくまで根っこを張った側からのアプローチでいくし、辻さんたちはもの作りから人の生活に問い掛けていくし。で、買う人は自分の生活にうまくどっちも取り込んだら楽しいはずなんですよ。
辻:それで金沢での展覧会は、どんなセレクトになりそうですか。絵付けの器とお茶関係をリクエストした記憶があります。
奥村:はい。今回は染付ですね。比較的新しいものになります。とはいえ清の時代の終わりから中華民国、中華人民共和国が始まって割と最初の頃ぐらい。中国の歴史の中で大きな転換期にあった時代の工芸です。今回は染付なので磁器が多いわけですが、磁器で1番の産地といえば世界に名の知れた景徳鎮ですね。ここは皇帝のための官窯、庶民のための民窯の両方を持った産地なんです。古くから世界に輸出してるし、高い技術を持った人の中には皇帝のお抱えもいました。中国では民藝のような概念がなくて、工芸の美というのは時の皇帝に献上されるようなものが美で、庶民的なものの中に美を見出すということは伝統的になかったわけです。このへんののんびりしたものはいわばキワモノです。
辻:キワモノですか。民窯の中におおらかな絵を描く人たちがいたんですね。
奥村:その土地とか周辺で暮らしてる人たちの普通の生活道具っていうのは、こういうものだったんですね。景徳鎮にあまたある仕事の中で僕が抽出してるのは民藝的な概念を持ちつつ、美しいもの。
辻:この辺の民窯を奥村さんが選んでくるのは、やっぱりその時代のその土地の生活が垣間見えるからですか。
奥村:そうです。例えば器の表面に漢字が1字彫ってあるんです。あれは所有者の名前なんですよ。中国では古くから持ち寄りの文化があるんです。村の中でみんなでやる行事があって、そこに料理を持っていく時に皿の所有者が分かるようにしたんです。
辻:そういえば私が奥村さんから買った蓋碗にも1字書いてありました。持ち主の名字だったんですね。
奥村:中国でもここ10年ぐらい、柳の本が中国語版になったりして、民藝の概念がアンテナの高い人たちの間には伝わってきてます。若い人たちでセンスのいい人たちはみんな民藝を超越して坂田さん(「古道具坂田」店主の坂田和實、故人)の本を読んでます。坂田さんを知った人たちが、さらに民藝というところに来て、「これは我が国、我が地域にもいくらでもあるんじゃないか」って考えてる時期です。
辻:じゃあ最後の質問です。奥村さんにとって「ライフ」とは。
奥村:やっぱり旅です。みんなよく旅から何かを持ち帰るって話をしますけど、僕の場合は月の3分の2は外に出てますから、旅が日常なんです。例えば旅の朝に宿で3時間、次に売り出す商品の登録をしたりするんですよ。そうしないと売り上げが立たないから。だから旅をしつつ日常を崩さない。生活の基本がものを見つけるための旅にあって、帰ってきて家族といる方が非日常です。僕らはやっぱり動かなくなったら終わりだし。昔「動く距離に比例して面白いことができる」って言われたことがあって、実際そうだと思います。
辻:足で稼ぐ仕事、ですね。
奥村:絶え間なく旅をしてるからこそ見つかるものってありますね。その面白さがなくなると自分のお店なんかは簡単に飽きられちゃう気もするし。中国のものを持ってきてるからこそ見える日本の焼きものとかもの作りとか作り手の位置とか。これがあると自分にとってすごく健全にものが見れるんです。
辻:金沢の展覧会はなんとも軽やかな感じになるんじゃないかな。楽しみにしてます。
奥村:僕も楽しみです。荷造り頑張らないと。
<略歴>
奥村忍(おくむら・しのぶ)1980年、千葉県船橋市生まれ。慶應大学経済学部を卒業後、台湾やアメリカ、ベトナムなどを放浪。商社、メーカー勤務を経て、20代終わりの2010年にWEBショップ「みんげい おくむら」をオープン。国内外の工芸産地を巡りながら手仕事や旅、食に関する執筆も手掛ける。著書に「中国手仕事紀行」(青幻舎)。増補版に続く第3弾が今秋出版の予定。
<編集後記>
「旅を枕」の人なのに、慣れた手つきで和食を振る舞い、土地性に裏付けられた民藝の魅力を語る姿は、地に足のついた生活者のようで、そのギャップがなんとも不思議です。各地の料理人と行く次の中国ツアーではオオサンショウウオを食べるという話も刺激的でした。(鈴)
92nd exhibition
mingei okumura
2026.05.29 fri. — 06.28 sun.
みんげいおくむら茶会のお知らせ
2026.05.8
event
5月29日(金)から始まるみんげいおくむら展に合わせ、chanowa 出野尚子さんのお茶会を開催いたします。
みんげいおくむらの店主・奥村さんとご一緒に中国へ旅をするなど、兼ねてから親交のある出野さん。
今回は、奥村さん買い付けの茶器などを使って、今年の春に一緒に訪れた鳳凰単叢の故郷、中国・潮州のお茶を召し上がっていただきます。お菓子は出野さんのはからいで、渡邊薫子さんに作っていただきます。
奥村さんも交えて、中国の秘境のお話や珍しい食べ物のお話などしながらゆったりと心地よいひとときをご一緒できればと思います。
お申し込みお待ちしております。
※5月24日追記:全ての回で満席となりました。ご予約ありがとうございました。
みんげいおくむら展についてはこちらをご覧ください→●
●みんげいおくむら 茶会
茶:出野尚子
菓子:渡邊薫子
日程・時間:5月29日(金) ①13:00〜(満席)、②15:30〜(満席)
30日(土) ③13:00〜(満席)、④15:30〜(満席)
場所:factory zoomer /life(金沢市清川町3-18)
定員:各回7名
会費:8,800yen (税込)
[ご予約方法]
お電話にてお申し込みください。
tel:076-255-6826(factory zoomer /life)
※火曜・水曜は定休日となりますのでご注意ください。
みなさまのからのお申し込みをお待ち申し上げております。
92nd exhibition mingei okumura
2026.05.29 fri.- 06.28 sun.
12:00→18:00
photo by suzuki shizuka
一昨年、ひょんなことから中国・雲南の茶山に行くことに。自分の人生で雲南を旅することになるとは思いもよらなかったのだが、その時私を勇気付けてくれたのが、「みんげいおくむら」の店主、奥村忍さんの著書「中国手仕事紀行」だ。読み始めると土地の説明、歴史、手仕事、食べ物と、現地の生活の様子が、手に取るように浮かんで、ドキドキをワクワクに変えてくれた。奥村さんは、日本や中国などその土地の生活に密着した民藝品を買い付け、オンラインショップで販売している。特に中国の少数民族の暮らしの中で買い付けたものは貴重だ。なぜなら、日本では、もうそれらの道具を使う生活がとっくに無くなってしまい、中国でも今、近代化の中で手仕事は崖っぷちにあると言われ、ちょっと盲点をつかれた。奥村さんは物を紹介しながら、人間が「暮らし」を捨ててしまわないようにと警鐘を鳴らしているのだろう。 店主:辻和美
5月のお休みのお知らせ
2026.04.17
calender
fctory zoomer /life 5月のお休みのお知らせです。
4月24日から韓国を代表する写真家、具本昌(クー・ボンチャン)さんの展覧会が始まります。今回は作品集「空手(クウシュ)」の出版に合わせた、空っぽの箱の写真の展覧会です。ぜひ店頭にてご覧ください。
5月29日からは、みんげいおくむら展を開催予定です。展覧会の開催に合わせ奥村さんと親交のある茶人 出野尚子さんが茶会を開催してくださいます。ご予約方法など詳細につきましては後日、ホームページとインスタグラムにてお知らせいたします。
open time 12:00ー18:00
カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。
イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。
5月も皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げております。