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育てるニット

2020.11.7 gallery blog

ANSPINNENさんの基盤である小金毛織さんが得意としているのが獣毛です。
獣毛は保温性や保湿性に長けているものが多く、呼吸する繊維でもある為、意外と汗をかいてしまう冬の時期の蒸れも気にならず、快適な着心地が長時間保てるのが特徴です。
風合いの変化や、着心地、糸の太さなど、もともと素材の作り手である小金毛織さんが、動物ごとの繊維の特徴などを熟知していることで、スピネンのアイテムたちは、それぞれの特徴を生かした糸を使用し、ニットに仕立てた時に着心地の良さや風合いの変化などまで、考えて作られているのだと感じました。

ANSPINNENで色々なアイテムで展開しているのが、カシミヤの素材。
小金毛織で使用しているカシミヤは、中国北西部や内蒙古周辺の最も良質な繊細で柔らかな素材を使用しています。カシミヤ山羊は寒暖の差が激しい高冷地に生息しているため、外側は太い毛で覆われているのですが、内側は細く柔らかな毛が密集しており、その産毛のみを集めたもののみを素材として使っています。
カシミヤ特有のなめらかなぬめり感と絹のような光沢があり、「繊維の宝石」と呼ばれるのも納得です。

数あるカシミヤのアイテムの中でも、象徴的なのが、たくさんの色を取り揃えたストール。
今回のDMの写真にも使用させて頂きました。
カラー展開はなんと17色!
こちらのストールは、本社のある千葉県で手動式横編み機(略称:手横-てよこ-)と呼ばれる機械で、1枚1枚熟練の職人さんが手を動かして編んでいらっしゃいます。
家庭用の手編み機などを体験された事のある方ならお分かりいただけると思うのですが、実は、手編みの機械は操作にとても繊細さが必要で、細かな調整が仕上がりに大きく影響してくるものなのです。糸調子などにも細かく配慮しながら、一定のリズミカルな速度で編んでいかないと、編み目が揃わず、綺麗に仕上げる事ができません。
手動式横編み機は、1枚編み上げるのに時間を要します。オートマチックの機械に比べると、当然ながら効率的ではないのですが、この手法で編まれたニットは、より一層、糸のふんわりとした風合いを生かした仕上げができ、だからこそ、デリケートな首もとに巻くストールに用いていらっしゃるのではないかと推測します。

使っていくうちに、サラリとしたつややかな質感から、徐々にふんわりとした風合いに変化していきます。それはまるで糸の膨らみが増すような感じで、編み目も少し詰まっていくような印象です。
最初からこの状態に仕上げる「縮絨」という加工もあるそうですが、少しずつ変化していく過程も楽しんで頂けるよう、加工としての縮絨はしていないそう。
ユーザーがお好みの風合いに育てていく楽しみがあります。

左が昨年ワンシーズン使ったもの、右が新しい状態

ストールの他にも、カシミヤ素材のセーターやカーディガン、ガウン、レッグウォーマーなど充実のラインナップとなっています。

ボタンレスカーディガンは、短めの丈がバランス良く、ロングスカートやワイドパンツなどボリュームのあるボトムスとの相性は抜群です。左右についたポケットが愛らしいアクセントになっています。薄手の編み地なので、長いシーズン活躍してくれそうなのも嬉しいですよね。

ニット素材ではちょっと珍しいフーディーやパンツは、使われているコードもニットで作られており、さりげないポイントが洋服好きさんの心をくすぐります。

糸の太さ違いで2種類あるガウン。暖かさはもちろん、ボタンをつけない事で軽やかなデザインになっています。付属のニットベルトでホールドしたり、キルトピンなどで好きな位置で留めたりと、アレンジが楽しめます。

大事に愛情を持って使って頂いたら、長く長く使えるカシミヤのニット。
その、素材の良さを実感して、シーズン毎に、1枚、また1枚と買い足していくと、仰って下さっているお客様もいらっしゃいました。
ぜひ/galleryでお気に入りの1枚を見つけて下さい。
ご来店お待ちしております。
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