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Daily Life -reclaimed blue 2020- 辻和美 + factory zoomer
Vol.130「BLUE × BLUE」参加作家:辻和美(ガラス)、金森正起(琺瑯)、河合悠(キャンドル)、宮下香代(モビール)、shino(チョーカー)、suzusan(ストール)、薗部悦子(ジュエリー)、ヒムカシ(靴下)日 時:2020年12月5日(土)-12月25日(金) -
glass ⇄ plastic 辻和美 + factory zoomer
日 時:7 月 4 日(土) – 12 日(日) 12:00 – 18:00 火曜定休
会 場:Kit
京都市上京区信富町299
075 744 6936
入 場:完全予約制 ※詳細は Kit websiteをご確認ください。
もともとガラスを模したであろうプラスチックを再びガラスに戻す、という行ったり来たり企画も三度目。今回はプラスチックが登場しはじめた創成期の色、柔らかく、未発達で、もろい、樹脂(*)の色をたくさん作っていただいた。それはちょっと黄ばんでいたり、乳白だったり、ところどころムラがあったりして、不純物を多く含んだ古いガラスにも似ている。辻さんのガラスにも樹脂色があり、硬さの中に樹脂のような柔らかさを見つけた。二つの素材の中に不思議な共通性を感じたときめき。今でもヘン子ちゃんカラーと呼んで楽しんでいる。
あるとき二人で、こんな色がプラっぽくて可愛い、樹脂っぽいね、なんて言い合いながら、ガラスのテストピースをプラスチックのように扱い並べて見た。ガラスも炉の中で化学変化するので、思った通りの色に出ないことも多いと唸る辻さん。果たして…?と 委ねることしか出来ない私だが、後日ペットボトルの写真が送られてきた。笑えるぐらいプラスチックに見えるけど、もちろんガラス。これだ!これぞヘン子中のヘン子ちゃん。今まで何本買って捨てたか分からないペットボトルという存在。
50~60 年代頃になるとプラスチックの精度は上がり、鮮やかな着色が可能になり、高度経済成長期の生活をポップに彩った。そんなイケイケな時代を思い出すような、料理が映えなさそうなバッドテイストギリギリな色だってこの企画にはぴったりだ。だってこれはひとつの素材であり形だから。たとえ道具であっても使い方を考えさせない、もの優先の存在に圧倒されたいんですよ私は!!!何気ないやり取りや、日常の中からエッセンスを絞り出すようにして作られた作品だからこそか、辻さんのガラスは「ものを持っている」と いう実存感がある。さて、われわれの未来やいかに。先行き不透明な時代ではありますが、相変わらず人が作るものは楽しい。とりあえず、いまを生きましょう。
*古くは人間が樹液や動物の骨などの自然物を溶かして固めて形を生成していた事がプラスチックのはじまり。そこに合成化学物質を加えて現在のプラスチックへと転じた。
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生活工芸の作家たち 3
会期:2020年1月31日(金)-2月9日(日)13:00-19:00
*1月31日は青花会員と御同伴者1名のみ
会場:工芸青花
東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
出品:安藤雅信(陶)
辻和美(ガラス)
三谷龍二(木工)かつて『芸術新潮』の編集部にいたとき、日本民藝館の特集をつくったことがあります(2005年。08年に書籍化)。古道具坂田の坂田和實さんが民藝館の蔵品から22点をえらび、その選択について尾久彰三さん(民藝館学芸員。当時)、山口信博さん(デザイナー)に坂田さんをまじえて鼎談をおこないました。以下、引用です。
山口 柳宗悦と坂田さんの好みの違いって、たとえばどんなところですか?
尾久 はっきり違うのは文様にたいする考えかたでしょうね。柳さんは文様が大好きでした。具象、抽象を問わず、潑溂たる文様こそ工芸の美を代表するものと考えていました。(略)坂田さんは逆でしょう。おそらく文様なんてないほうがいいと思っているはずです。それをうけて坂田さんは〈文様については尾久さんのいうとおりですね。絵画は別として、器類は文様のないものを探そうとしました〉と語っています。3回目の「生活工芸の作家たち」展です。これまで「ふつう」「ふぞろい」と、生活工芸派の器をあらわす(と私が考える)テーマでつづけてきましたが、今回は「もよう」。柳にいわれるまでもなく、東西とわず工芸に文様はつきものです。日本の食器の歴史をみても、神具や寺什をべつとすれば、多くは文様を志向しています。しかし生活工芸派は無文、無地を志向した。あえて、だったはずです。2000年代、彼らの影響でクラフトフェアなどにならぶ器が無地ものばかりになった光景は、当時は思いませんでしたが、じつは異様な光景だったのかもしれません。なぜ無文だったのか。あらためて考えたいと思いました。