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意識して無意識に崩す
2021.05.27
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/gallery、/shop 両店舗で開催中のキムホノ展。
いよいよ今週末、5月30日(日)までの開催となりました。
キムさんの作品はよく「生き物のよう」と、例えられることがあります。
それは、作品のもつ柔らかな歪みやアンバランスな形から、今にも動き出しそうに見えてきます。
20代で焼物の道へ進み、以来40年以上作品を作り続けていらっしゃるキムさんにとって、均整の取れた美しい形のお茶碗や鉢などを作ることは難しいことではないのではないでしょうか。キムさんは以前「気を抜いてしまうと整った形になってしまう」と仰っていたことがあります。
技術の備わったキムさんは、面白いことに、意識していないと手が自然に綺麗な形に作ってしまうのだというのです。
では、この生き物のような作品たちは、どうやって作られて来たのでしょう。
それは、制作の工程の中にわざと “崩れる過程” を作るように意識し、意図的に狙った形で崩すのではなく「意識」して「無意識」に崩れるという工程を作っておらるのだそうです。
例えば、こちらの四角い鉢はろくろで制作されています。
ろくろで作ることが出来るのは丸い形。
それを、丸から一番遠いところ、つまり四角に作り替えることで、自然な歪みが生じ、中央に残ったろくろの丸いうずの手の跡と四角い形が印象的な作品が生まれるのです。
キムさんは、子供の作ったものに魅力を感じるとおっしゃいます。
歪んだり不恰好だったりするそれらは、技量の少ない子供には、精一杯キッチリ作った作品。それらの作品には、作為的な手の跡はありません。
その、あざとさのない崩れが、アーティストであるキムさんの目指しているひとつなのかもしれない。と、思い、そして、歪んだ形を形成することは、綺麗な形を作ることよりもはるかに難しい事なのではないか。とも思いました。
会期がわずかとなりましたが、ぜひ、この生き物のような作品たちをじっくりご覧いただければと思います。
感染対策に注意しながら、お待ちしております。
/online shop でのご紹介作品も、クローズアップしたお写真をご用意しておりますので、ぜひ覗いてみてください。
また、ブログやインスタグラム掲載の作品についても、気になる作品がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご説明の後、通信販売に対応させていただきます。
(n)
57th exhibition
kim hono
2021.04.29.-05.30
12:00 → 18:00
キム・ホノさんの器で中国茶
2021.05.23
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広坂の/gallery、犀川沿いの/shopで開催中のkim honoさんの展覧会も、残すところあと1週間となりました。先週末は、/shopの2階で、ズーマでは定期的に行われている月乃音中国茶稽古が、今回はキム・ホノさんの器を使って、開催されました。今日はその様子と、今展で扱いのあるshopの作品を少しご紹介したいと思います。
今回のお稽古は「岩茶」。岩茶の産地は武夷山と言う、中国・福建省北部に、沢山の峰や岩がにょきにょき連なる山々があり、その岩間をぬうように美しい九曲渓が流れているところです。1999年に世界自然文化遺産に認定されました。そして武夷山の岩山とは、その昔に海底から隆起して出来た岩山で、奇峰奇岩に深く根を張り、太古の岩のミネラル(微量元素)と水、霧、風、太陽の光と様々な動植物と共生し成育する茶樹の葉でつくるウーロン茶、それが岩茶です。
一口に武夷岩茶と言っても、武夷山で採られている「正岩茶」と、武夷山を流れる九曲渓の下流の武夷山の裾野で採られている「半岩茶」、武夷岩茶の血筋を引いている「洲岩茶」といった3つの区分に分かれています。 半岩茶や、洲岩茶は、正岩茶より味や質が格段に落ちるものですが、武夷岩茶として販売されているのが実状です。なぜなら、正岩茶は、年に一度、一週間のみ作られるとても貴重な茶葉なので、とても少量で、世の中にたくさん出回らないからです。今回はその貴重な正岩茶の中から、老叢水仙と、白鶏冠の2種のお茶をいただきました。
キムさんの器と正岩茶の生命力や、力強さは、相乗効果で、キムさんのごつんとした作品と岩茶の高いエネルギーの余韻を長引かせてくれました。
今まで、器とは、盛る物、食べ物を引き立てる役割をするモノ、中に何かが入って成立する余白のあるものだと思っていましたが、その概念は覆えされました。どちらかが引き立て合うという感覚ではなく、プラスとプラスの相乗効果で、岩茶と、キム・ホノのエネルギーをいただく、という感覚です。今までは、その器でいただく、ことはあっても、「その器をいただく」=エネルギーを体の中に入れる感覚は初めて味わうもので、今もあの時の余韻が体を駆け巡っているようです。
使いやすい器は、毎日の生活の中に、なくてはならない存在で、いつも手にとってしまう使いやすい器というのは必需品です。
だた、キムさんの器は、使いやすい器、という概念からは少し離れてしまうかもしれませんが、生活において、なくてはならない存在で、モノのもつエネルギーを存分に楽しんでいただける作品です。
今回、キムさんのごつんとした作品にどんな中国茶をいただけるのか、どんな世界になるのかとても楽しみでした。茶人である渡邊乃月先生のしつらえ、キムホノの器で中国茶を味わう、正岩茶の高いエネルギーを知っているからこそ、のしつらえと、存分に双方を堪能できたことが大きな喜びです。
6月も中国茶稽古の開催を予定しており、武夷山で採れた紅茶の学びを深めます。ぜひ中国茶のお稽古にご参加されませんか。
現在、factory zoomer /online shop では、キムホノ展のオンライン展覧会を開催中です。このような状況下でご来店が難しいお客様にもお楽しみいただけたら嬉しいです。ブログやインスタグラム掲載の作品についても、気になる作品がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください<y>
info@factory-zoomer.com
57th exhibition
kim hono
2021.04.29.-05.30
12:00 → 18:00
織部は自由
2021.05.21
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4月29日からスタートした、キムホノさんの展覧会。
/gallery、/shop、/online shop にて、器であると同時に、作品そのものを鑑賞して楽しむことができる作品をご紹介させていただいております。
今回の展覧会のキーワードである「織部」
2年前の展覧会開催時に、キムさんと織部焼のご縁についてブログでもご紹介しています。→ こちら
20代のキムさんが、焼き物の道に進もうと決心したきっかけでもある織部。
織部というものには、独特のあの緑色だけではなく、姿形にも特徴があるのだということをご存知でしょうか。
2年前のブログでもご紹介していますが、織部焼とは、
【織部焼の造形、意匠上の特色は、形の概念を徹底的に打ち破った自在な「形姿」と、描き込まれる文様やその構成が固定の概念に全く拘束されないという破天荒な「意匠性」の2要素から成り立っている】
とあります。
「概念を徹底的に打ち破った」や「概念に全く拘束されない」など、織部焼とは、ある意味タブーがない、至極自由な焼き物なのだという印象を受けました。
自由な焼き物。まさに、今回の作品たちもそうだと思いませんか。
周りに大きな飾りがせり出した鉢。全体に穴が空いているボウルなど、これまで見た事のない形の作品たち。
器とオブジェの間を自由に行ったり来たりしながら、今回の作品たちが生まれていったのだと想像します。
以前、キムさんが「僕の作る作品は、織部釉を使っていなくても、全てが織部だと思っている」と、お話ししてくださった事があり、とても印象に残っていました。織部に自由を感じたキムさんが作られる焼き物は、全て織部の精神が宿っていて、それは、キムさんのおっしゃる通り、紛れもなくどの作品も織部焼であるのだ。と、今回の作品たちを手に取った時、以前のキムさんの言葉が体に染み込んだような感じがしました。
ちょっと個性的だけど、実際に使ってみるとどんなものでも受け入れてくれるキムさんの作品たち。
ぜひ、この機会にキムホノ作品と暮らす楽しさを味わってみませんか。
現在、factory zoomer /online shop では、キムホノ展のオンライン展覧会を開催中です。このような状況下でご来店が難しいお客様にもお楽しみいただけたら嬉しいです。
ブログやインスタグラム掲載の作品についても、気になる作品がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
info@factory-zoomer.com
(n)
57th exhibition
kim hono
2021.04.29.-05.30
12:00 → 18:00
飾れる器
2021.05.12
/life
道ゆく人の服装も軽やかになってきて季節の移ろいを感じます。
現在広坂の/galleryではキムホノさんの展覧会が始まって2週間が過ぎました。
ギャラリーにズラっと並んでいる作品たちは、これでもか!というほど穴が空いていて、その圧倒的な存在感に目を奪われてしまいます。
この穴をキムさんが、ひとつずつ開けていったことを想像すると途方もない仕事量です。
様々な形と大きさの穴は、キムさんご自身が銅板を曲げて穴を開ける道具を作られたそうで、三角形や台形や長方形などなど、それぞれの型を作ったのだとか。型で土を抜くときも、両側から型を押しているそうで、その後に穴の縁をなめして整えていらっしゃいます。
大変な工程を繰り返しながら出来上がった作品ですが、しかし見る側からすると、とても軽やかで、お客様にこの作業を説明すると驚かれる方が多いです。
壁に掛けられている作品は、今回の展示に向けて制作された中でも最初の方に出てきたものだそうで、器として使うこと、オブジェとしてのイメージ、どちらも意識して作ってらっしゃいます。
器として、、、?と最初に思っていた私ですが、穴が空いているので天ぷらを置いたり蕎麦を置いたらどう?というお話を聞き、なんて自由なんだろう!自分だったら何を乗せよう?と考えるのが楽しくなりました。
絶妙な色むらがある作品は、紙に顔料を乗せて転写する技法を使っており直接色をつけるのとは違う自然な感じを出すために工夫をされてらっしゃいます。
たくさん並んでいるこちらの作品は足になっている部分が番線を通せるようになっていてご自宅のお好きなところに壁掛けとして飾っていただけます。
木版画のような絵柄の部分は、土が生乾きの時に陶器用の顔料を白、水色、黒の順番に重ねてから彫ることで描いていらっしゃっています。
また織部釉の緑の部分はを筆を使ってのせることで濃淡を出していて、ツヤっとした表情と、土のざらっとした質感のコントラストがとても素敵です。
一見オブジェのイメージが強い作品ですが器として使うこともでき、どうやって使おう?どこに飾ろう?という想像が膨らみ、ギャラリーにいらっしゃったお客様とお話が盛り上がることも。
様々な使い方や飾り方の可能性が広がる作品を前にひとりでじっくり考えるのも楽しいですし、誰かとお話をしながらワクワクを共有するのもまた良いものです。
オブジェとして飾ったり、器として使ったり、いったりきたりを繰り返していくうちにより一層作品の面白さや魅力を発見できる、味わい深い作品ばかりです。これは、キムさんがご自身の作品作りの中で湧き出てくるイメージを、自由な発想で、とことんまで表現方法を追求していらっしゃるからこそだと思います。
ぜひ、この機会に表情豊かな作品たちをご覧ください。
気になる作品がございましたら、お気軽に info@factory-zoomer.com までお問い合わせください。
(m)
作品と向き合う
2021.05.4
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広坂の/galleryでは、現在、キムホノさんの展覧会を開催しています。
キムさんの新作の展覧会は、2017年の1月に開催していただいた以来、実に4年ぶりの展覧会となりました。
今回も、完全新作。
展覧会の作品のために、土を練り、ゼロから作り上げてくださっています。
今展覧会では、「織部」が一つのキーワードになっています。
キムホノさんにとって、「織部」は焼き物の道を決意したきっかけでもある、特別なものです。
これまでもキムさんの織部の作品は、/shop、/galleryでもお取り扱いさせていただいてきましたが、どの作品も、濃淡で表現された景色が美しく、味わい深くファンも多い作品です。
「織部」をキーワードに、キムさんが次に展開させてくださったのが、作品に穴を開けること。
銅板を叩き、手作りされたさまざまな形や大きさの型を使って、一つ一つ型抜きされた穴の数々。
キムさんは、穴を開けることで「使うことを拒否する」と考えられたそうです。
穴を開けることによって、器としての使い方を一つ無くし、同時に器としてだけではない可能性を作品に込められたのではないかと思います。
今展覧会でご紹介している作品は、器でもあり、オブジェでもある。そんな作品たちです。
飾りながら、器としても使える。
そんな作品たちを手にした時に、私は作品から
「あなたはどんな風に使いますか?」
と問いかけられているようなそんな気持ちになり、
それは、キムさんからのメッセージのようにも感じました。
作り手のキムさんが、全力で作品と向き合い制作してくださったように、
使い手としての私たちも、作品と向き合いながら、楽しみ方をとことん探求してみませんか。
57th exhibition
kim hono
2021.04.29.-05.30
/galleryと/shop、両店舗とも、感染対策に注意しながら、皆様のお越しをお待ちしております。
気になる作品がございましたら、お気軽に info@factory-zoomer.com までお問い合わせください。
(n)
本日よりキムホノ展です
2021.04.29
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新緑の瑞々しい色が眩しい季節になりました。
本日より広坂の/galleryでは、陶芸家のキムホノさんの展覧会がスタートします。
展覧会ごとに新しい世界を私たちに見せてくださるキムホノさん
今回は、オブジェであり器でもある、そんな作品を制作してくださいました。
また、今回は犀川沿いの/shopでもキムホノさんの新作をご紹介致しております。こちらは、急須や茶杯など日々の暮らしに活躍してくれそうな作品です。
織部釉の落ち着いた色調の中で表現された、まるで生き物のような有機的な作品群を、ぜひこの機会にご覧下さい。
初日の本日は、キムホノさんが在廊して下さいます。
手指消毒や店内の換気など感染対策を致しまして、皆様のお越しをお待ちしております。
(n)
白と黒の境界線
2021.04.24
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4月24日にスタートした、井山三希子さんの展覧会も、明日までの開催となりました。毎日、たくさんの作品が色々な食卓へ旅立っていっています。
井山さんが今展覧会に制作してくださった作品は、日常づかいのテーブルウェアと、factory zoomerでの展覧会では欠かせない、中国茶のお茶道具など。
今回、井山さんはお茶道具の蓋碗や茶杯など一部の作品で、“掛け分け”という技法を使った作品に挑戦してくださいました。
掛け分けとは、2種類以上の釉薬を重ならないように隣り合わせ施すことをいい、釉薬の組み合わせによっては隣の色が滲んだり、それをデザインの一部として使われる方もあるのだそう。
井山さんが制作してくださった掛け分けの作品は、内側が白、外側が黒のはっきりとした境目の作品で、口元のふちでパキっと分かれた白黒は、井山さんの器の優しい揺らぎのある形と重なり、優しさと強さが同居したような魅力を感じさせてくれます。
中国茶では、水色(すいしょく)、香り、茶葉の様子などを観察しながらその変化なども楽しみます。
この掛け分けの技法によって、水色や茶葉の様子も拝見できる、シックな黒のお茶席が完成し、茶会「茶と茶」での、白座と黒座が実現しました。
新しい技法に挑戦したり、釉薬や土を変えてみられたりと、作品をブラッシュアップしていきながら、これからも井山さんの手からどんな作品が生みだされるか、とても楽しみで目が離せません。
掛け分けの作品は完売致しましたが、展示用にお借りしている作品がございますので、ぜひご覧ください。
会期は明日までとなりましたが、プレートなどお選びいただける作品がございます。この機会にお手にとってご覧いただけたら嬉しいです。
ご来店お待ち申し上げております。
(n)
doi展 chanowa 茶会「花花緑緑 huāhuālǜlǜ」のお知らせ
2021.04.18
event news
factory zoomer /gallery では、6月5日(土)よりdoi展がスタート致します。
/gallery制服のカシュクール、/shop制服のエプロンをオリジナルで制作してくださっている、熊本の < doi > 川上直子さん。
factory zoomer の他にも、様々なギャラリーやショップなどのワークウェアを手がけていらっしゃいます。
そのdoiの展覧会に寄せて、6月4日(金) chanowa 出野尚子さんがお茶会を催して下さいます。
以下、出野さんより
DOIの展示に寄せ factory zoomer にて茶会を開きます。
水の月、茶葉が開き舞うさまを眺め、沁みいる時間をご用意いたします。
chanowa 出野尚子
茶会 花花緑緑 huāhuālǜlǜ
6月4日(金)
時 間/①11:00〜12:30(満席) ②15:30〜17:00(満席)
定 員/各7名
参加費/¥5,500(税込)
場 所/factory zoomer /gallery
お申込み、お問い合わせは、info@factory-zoomer.com または、factory zoomer /gallery (076-255-6826)までお気軽にご連絡下さい。
優しく誠実な器
2021.04.16
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現在、広坂の/galleryでは、井山三希子さんの展覧会を開催しています。
展覧会によせて催した、茶会「茶と茶」のレポートでお道具類などをご紹介したように、今展覧会では作品のカラーを井山さんの原点でもある白と黒の器を中心にご紹介しております。
factory zoomer /gallery での展覧会では定番となった中国茶のお道具や、日々の暮らしに活躍してくれるプレートやボウルなどの器を制作してくださいました。
普段、食事の時につい手に取る機会が多い井山さんの器ですが、お客様のお宅でも同様のようで、/galleryの展示台にずらりと並んだ器を前に、どんな風に使おうか、何を盛りつけようかとお客様との話が弾んでお腹が空いてきてしまうこともしばしば。実際に使って下さっている方がどんな風に使っておられるのかお話が聞けるのも、こういった機会ならではの楽しい時間です。
井山さんの作品をじっくり見ていると、温かな優しさの中に清廉さを感じます。
柔らかな曲線として僅かに残ったカップの内側の手の跡、乾燥の時に自由に動いた土のゆらぎ、手に取った時にしっかり存在を感じられるギュッと締まった土の感触、ひとつひとつ丁寧に施された釉薬の流れ。。。
そのひとつひとつから、真剣に作品と向き合っている井山さんの呼吸までもが感じられるようで、使う度に背筋が伸びる思いがします。
会期は4月25日(日)までと残すところ僅かとなりました。完売している作品もございますが、1ヵ月という長い会期に合わせて、自粛期間にたくさん制作してくださいましたので、ぜひ、この機会に足をお運びください。
そして、皆さまの「この器でこれを食べたい!」をお聞かせいただけたら嬉しいです。
ご来店、お待ち申し上げております。
(n)
井山三希子展 茶会「茶と茶」
2021.04.11
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現在、広坂の/galleryでは、井山三希子さんの陶器の展覧会がスタートして約半分が過ぎました。蕾だった桜が、今はすっかり葉桜になり、辺りの緑がとても清々しいです。今展では、展覧会に先駆けて、茶人 渡邊乃月さんをお招きし、井山三希子さんの器を使った茶会「茶と茶」を開催致しました。今日はその様子と、今展で扱いのある作品を少しご紹介したいと思います。
「茶と茶」
「白」と「黒」をテーマに白座と黒座が対局におかれ、白座には作家の井山三希子さんが、黒座には渡邊乃月さん、のダブルの茶人による茶会が催されました。同時に両茶席の幕が開け、長いテーブルを半分にした白座側の方には白茶の白牡丹を、黒座側の方には黒茶のプーアル茶を飲んでいただき、後半には席を入れ替えて、どちらの茶も堪能していただきました。
6色の色に分類される中国茶の中で、白牡丹は緑の香りが柔らかく水色も淡くみずみずしい茶で、プーアル茶は濃厚でドロッと喉奥に甘露があり、艶感のある栗色の茶で、どちらの茶も何煎も飲み進める中で、味と香りの変化をそれぞれに感じてただいたと同時に、白茶と黒茶の水色、形、味や香り、様々な対比を感じていただけたかと思います。
それぞれ白茶、黒茶を堪能された後、中座として、factory zoomerのレインボーシリーズのカラフルなガラスにパイナップルケーキと、アイスティーが登場します。オーガニック生姜の花を、紅茶に香りだけをうつしてつくるとても贅沢な紅茶で、パイナップルケーキにとても合い、ご参加されたみなさんの緊張が解け、気分がふわっと高揚し、笑みがこぼれるのが伝わってきました。
渡邊乃月さんは今まで井山三希子さんの作品展における茶会を何度も開催されており、井山さんの茶器を熟知されていらっしゃいます。器の扱い方、所作と所作の間(ま)にすっかり惹き込まれてしまいます。また、井山さんは渡邊乃月先生の中国茶稽古に通われており、普段よりご自身の器を使っていらっしゃいます。回を重ねる毎に、さらに使いやすさを追求されている井山さんの茶の器をご紹介したいと思います。
茶葉と湯を入れ、急須代わりにお使いいただいたり、蓋で茶葉を除けながらそのまま湯呑みとしてお使いいただくことができます。ひとつ持っていると気軽に中国茶を楽しんでいただけるお道具のひとつです。
井山さんの茶海は、水切れはもちろんのこと、水の流れがとても綺麗です。水の流れる様子や音に惹きこまれるその数秒間、異空間へと誘ってくれます。茶通しとは、茶葉の偏りをほぐすための道具で、その茶通しを置くためのお道具です。箸置きなどに代用していただくこともできます。
縦長の茶杯は中に香りが篭り、飲んだ後の残り香を楽しむことができます。中国茶は何煎も飲み進める中で味と香りの変化を楽しんでいただく茶ですので、茶杯はとても小さく一口で飲めるサイズのものが多いです。
炉は、中にアルコールランプを入れて、上にやかんなどを置き、湯を沸かす道具です。右は炭化焼成の炉です。炭化焼成とは、さや鉢の中に、もみ殻を入れて蓋をして、いぶしながら本焼きをする技法です。さや鉢の内部は強い還元がかかりその炭素が作品に吸着することで、窯変します。今展の釉掛けされた他の作品と比べて、釉がかかっていない焼き締められた、炭化焼成の質感の違いを感じていただくことができます。また、耐熱ですので、直接炭を入れて、上に網をかけてお使いいただくこともできます。
会期は4月25日(日)まで開催しております。ぜひこの機会に井山さんの無彩色の世界感をご堪能ください。使い方や、サイズ、器と器の組み合わせなど、困ったり、迷ったり、使い方などを一緒にお話ししたりするのも楽しいひと時です。ぜひ店頭スタッフにお声がけください。
factory zoomer では、渡邊乃月先生の中国茶稽古を定期的に開催しております。まだお席に余裕がある月もございますので、ぜひお問い合わせください<y>