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対談:lifeを探して⑬キムホノ「変わり続ける奇想の陶芸」
2025.11.28
interview
対談「lifeを探して」の13回目の相手は、自由で斬新な作品を作り続ける陶芸家のキムホノさん。12月からの展覧会ではどんな独創的な世界を見せてくれるのか。作戦会議も兼ねて辻和美が愛知県瀬戸市にあるキムさんの自宅兼工房「キノハウス」を訪ねました。 (対談は2025年9月中旬に行った。構成・鈴木弘、写真・沼田万州美)
辻:いきなりですけど、展覧会どんな感じになりそうですか。ズーマでは4年ぶり5回目の個展です。前回は緑釉の織部が中心でした。キムさんって機能がどこかにあるオブジェをよく作るじゃないですか。そういうタイプの作品、とても魅力的です。今回は手のひらの中のオブジェみたいなのはどうかな?って思っているんですけど…。たくさんあるといいな。100個とか。それも全部違うのがあったら楽しいんじゃない?(笑) キ:全部違うのを100個? すごい大変なこと依頼しようとしているのは分かってる? 辻:えへへ。分かってないかもね。キムさんの作品で、リボン付いた箱みたいな形で、蓋物になってる作品ありましたよね。用途があるようでないようで、オブジェとしても見られて、置いたら場の空気を変えちゃうような。あれすごい好きでした。 キ:小さいのがいいの? 辻:そうね。ウチに持って帰れることは大事。見た人がキュンキュンして、選ぶのに困るみたいな。色は何色でもいいです。いつものような植物とか動物とか昆虫とか、いろんなものが付いてても面白いな。生きていることへの愛みたいなものがいつも作品から溢れてるから、あんな作品が人の暮らしのサイズで、たくさんあったら絶対いいだろうな。展覧会の時期はクリスマスにかかるしね。 キ:こうやって話してると、だんだん形が見えてくるね、不思議と。 辻:本当ですか? キ:うん。なんか全く今までなかった形が出てきた。 辻:それは嬉しい。キムさんって、今、結構若いギャラリストがついてますよね。 キ:そう。若い人が興味持ってくれてるのが嬉しいね。僕、若い頃は60歳になったらもう仕事がないだろうなと思ってたんだよね。だって、20代から見た60歳っていったら、もうおじいさんなんだから。そんなおじいさんが作るものなんて、若い人が興味を持つはずないから展覧会の依頼もなく、なんか寂しく細々と生きていくんだろうなって思ってたんだよ。 辻:でも逆でしょ。50代、60代とどんどん忙しくなって。 キ:本当に若い時より忙しくなったから、それはなんか嬉しいよね。若い人が興味を持つっていうのは。人生捨てたもんじゃないなと思って。 辻:今、個展は年に何回ぐらいですか。 キ:年に5、6回ぐらいかな。 辻:じゃあ2ヶ月に1回のペースですね。多いな。 キ:そんな感じ。この間リストを作ったら、40年で295回だった、個展で。 辻:いつも新作を発表してますよね。それがすごいと思って。毎回違うテーマで、新しい作品がどうやって生まれてくるのか。 キ:それはね、ひょんなところから湧いてくるんだよね。不思議なんだけど。まあ常に頭はずっとぐるぐる回ってるんだよね。1つが終わると、次のことを。作ってる時っていうのは、最終的にはもうそれは終わってるんだよ。もう次を考えながら、体は動いているわけ。 辻:それは分かります。私も同じです。作り手だから。
キ:頭と体は別物だから。体っていうのは嘘をつけないから、やっぱりその時の自分が出てるんだよね。だけど頭は嘘つけるから、次のことを考えられるわけ。ある程度決まって、もう見えてきたら、次のことをずっと探るんだよ。それで探ってるから、こうやって話をしたりとか、何か目にしたりとか読んだりとかした時に、そのキーワードみたいなものがポンと入ってくるの。 その時の自分が多分気になってるものだと思うんだけど。その言葉がポンと入ってきてインプットされるから、形になっていくんだよね。 辻:日頃からずっとアンテナを立ててるんですね。 キ:うん、ずっとアンテナは出してる。もうそういう習慣になってる。何でも、モノを作ることに結びつけてるから、本当に何気ない言葉とか音楽とか、そういうのも全部パッと気になるものがインプットされると、そこからバーッと形が作られていく。 辻:そのキーワード、キービジュアルみたいなものは書き留めておくんですか。 キ:書き留めることもある。ものを作ってる人だから分かると思うんだけど、形ってその時の自分の気持ちが作るんだよ。その時の気持ちがなくなると、形って消えてくんだよね。だから、その自分の今の気持ちの形を書いておくの。 辻:その時の自分の気持ちが作るってよく分かります。 キ:それを見たときに、自分がどう思ってたかっていうのを思い出すわけ。その時は絶対忘れないと思ってるけど、違うところに意識がいくともう忘れてるわけだよね。全てにおいてその人のその時の感情っていうか、情緒が全部言葉だったり、形になってるって思うんだよね。だから、それを忘れそうだったら、スケッチを大雑把に描いて、それでまた進めていくんだけど。何かに立ち止まった時に、それを見ると、パッとまた浮かんでくるわけ。調子良く仕事が進んでるときには、そっちの方を優先するんだけど、立ち止まった時に見たりすると、その時に感じた感情が今の感情と結びついて、また新しい何かが生まれたりする。言葉でうまく説明できないけど、常にぐるぐる回っていて、何かに引っかかって、そこで立ち止まって、その自分は何に引っかかったんだろうって認識をして、それで見えてきたら、また動き出すっていう感じかな。 それがもうね、日常ずっと起きているわけ。 自分の頭の中で。 辻:そりゃ、頭も体も忙しいね。その書き留めているノートは保存してますか? 内容は秘密? 作品と一緒に展示したら面白いのにな。どんな思考から作品が生まれてくるのか知る手掛かりになるね。 キ:人に見せるもんじゃないよ。 辻:そう、じゃあ、いいけど。あとね、作品はギャラリーごとに違ったりするんですか。展覧会はどんなふうに組み立ててるんですか? キ:僕なりにそこのギャリーのイメージをどっかで作ってるんだね。ここはこんな感じの雰囲気の所だとか、そこの匂いっていうか。それを感じて、それを前提にイメージしているから、場所によってやっぱり違うものが出てくるんだよね。 辻:そうじゃないかなと思ってました。でもそれって、すごいサービス精神じゃないですか。普通は作家の方が今の自分はこれだからこれでいきます!って感じよね。 キ:その方が楽なんだよね。もちろん自分の思いはあるけど場所のイメージが前提にあるから。それは空間だけじゃなくて、人にもあるんだね、ギャラリーの。まあ、だから勝手な僕の思いがあるわけよ。
2017年(factory zoomer /gallery)
2021年(factory zoomer /gallery)
辻:それで40年間のものづくりにおいて一貫した何か太い柱とか、テーマみたいなものはあるんですか? このへんだけは譲れないとか、ずっとこうしてきたとか。 キ:僕が若い頃から決めてたのは「同じもの、1回出した作品は出さない」っていうことかな。 辻:そこがすごい。 キ:だってもう違うテーマで作ってるから、もう違うんだよね。だから前と同じものは作れないっていうか。気持ちがもうそっちにないから。 辻:普通なら1年くらいは同じものを作りますよ、作家って。 キ:僕は飽き性だったのかな。若い頃に比べると、極端にコロコロ変わるっていうことはなくなったと思ってるけど、やっぱり自分の中で常に新鮮でありたいっていうか、分かってるやつはワクワク感がないから、どっかで新しいことを取り入れることによってワクワクするわけ。窯出しするまでどうなってるか分からないっていう、それは取り入れるようにしてる。 辻: 自分自身が楽しめないとですね。それは作品に出てきますね。 キ:そう、自分が楽しめないと、ものもつまらないんじゃないかなと思うわけ。賭けみたいな感じで、どうなるか分からない不安もいっぱいなんだけど。いい時にはいいし、もうガクッとくる時もあるけど、それはしょうがないね。人生、賭けをしてるようなもんだね。 辻:今回もやばいですね。(笑)あとね、作っていて手応えとか成功したなって感じるのはどんな時? キ:いい仕事だったなっていうのは後からじわじわ感じるのかな。展覧会の時はもう必死だから、そんな傍観するような余裕はないっていうか。すぐに「今回は成功だ」って思うことはあんまりないかもしれない。 辻:そうやって新作を出し続けるキムさんの原動力って何ですか。 キ:僕を支えてくれる人たちがいるっていうことかな。それがやっぱり一番の原動力になるし、「ああ生きてていいんだ」と思えるわけ。その人たちのおかげで、なんとか続けてられるんじゃないかな。 辻:ジャンボリー(キム工房で開かれた蔵出しの大規模な展示即売会)があったのは5年前ですか。私たちもお邪魔させていただきましたけど、あれは面白い企画でしたね。 キ:あの時の集合写真を見るたびに、色んなお店をやってる人たちがこんなに集まることなんて今後ないだろうなと思います。 辻:何年分の作品展でしたっけ? キ:20代からの作品展だから35年分。 辻:展覧会から戻ってきた作品をずーっと段ボールに詰めたまま、ほっといたんですよね。それを開けてみようって言い出したのは沖縄のギャラリーさんですか。 キ:とにかくそれを見たいって。だけど自分たちだけじゃ勿体ないからってみんなに声を掛けてくれて。準備で合宿したんだけど、僕はご飯作ることしかしなかった。だって、見始めると入り込んじゃうじゃない。必要か必要じゃないかの選別ができないから仕事にならないんだよね。 辻:作り手は全てとっておきたくなるよね。それは、本当に、準備に時間がかかったでしょう。 キ:7、8人の応援団が泊まり込みで何度か来てくれた。一つ一つ段ボールから出して洗って整理して。始めてから4年ぐらいかかった。いや、本当にね、助かった。少なくなったけど、まだたくさんあるよ。(笑) 辻:当日は早いもん勝ち方式でした。私たちは工房のあちこちにある作品を漁るようにして選びました。最後にみんなが買い終わったら、キムさんからサプライズがあったんですよね。「買った金額と同じ分の作品を差し上げます」って。あれは最高だった。
辻:それで話が遡るんですけど、そもそもキムさんはどうして陶芸家になったんですか? どんな経緯で陶芸の道に進んだんですか。 キ:僕はまず、ろくろに興味を持ったの。子供の頃、たまたまテレビで、ろくろをひいてる人の映像があったんだよね。もともと作ることとか描くことが好きだったから、土の塊からいろんな形を作ってるのを見て、すごく惹かれたの。でも、ろくろっていう道具は身近にはなかった。それで、高校を卒業して、絵が好きだったから、仕事と結びつけるにはデザインだと思ったんだよね。デザイン学校行って、デザイン事務所に勤めてデザインやればいいって。それがたまたま職業訓練校っていう所が、ろくろを教えてくれるっていうのを聞いて、その職業訓練校にも行こうと思って。それで一応試験があって、受かったから、昼間は焼きものの学校行って、夜間にデザイン学校に行くっていう。それで1年行って、卒業制作の参考にしようと桃山時代の本を見てたときに織部焼と出逢い、すごく惹かれるものがあったの。何百年も前に作られたものが、今の僕が見てもすごく新鮮に感じるっていうのは何なんだろうって。その瞬間、もうデザインやめて、焼きものやろうって決めた。それでデザイン学校行かなくなって。だからその作品集で織部を見なかったら焼きものはやってなかったな。 辻:すごいパッションですね。それから陶芸の修業を始めたんですか。 キ:それで、先生に就職先を探してほしいって言って、陶器の町工場に勤めるようになって。最初は家内工業的な小さな所で下働きして、空いた時間に絵付けをさせてもらったりした。そこは2年勤めたかな。ちょうどその頃、別の工場でろくろをやってた友達が辞めるからと誘ってくれて移ることになった。そこで初めて仕事でろくろをひくようになってだんだん上達していったんだけど、ずっとやってるうちに自分がすごい機械化されてるんじゃないかって思うようになって。 辻:そこには、何年いたの? キ:3年かな。自分がデザインしたやつでも、注文受けてずっとそればかりやってると、なんか自分が機械になったような感じがするわけ。それですごい疑問を感じて、自分が作るってなんだろうって、すごい思ったんだよね。それでモヤモヤしてたときに、会社も解散するって話になって。次の仕事をどうしようって考えてたら、取引先の問屋さんが「お前1人が生きていける分の注文くらいは取ってくるから、独立しろって」言ってくれて。それで独立。24歳の時かな。 辻:その頃はどんな作品を? キ:京都の高級料亭が使う器とか写しみたいなものとか色々。あと「こんな感じで作って」って言われたのを作ったり。 辻:その職人仕事だけでも生きていけただろうけど、やっぱり、もう片方のキムホノとしての作品がムクムクと生まれてくるんですね。
キ:自分の表現というものをずっと考えてたから。考えながら、モヤモヤモヤモヤしてて。それで、注文仕事を3年ぐらいやったけど、これはもうできないと思ったの。もう無理だって。それで頼んで、1年かけて注文を減らしてもらって。で、収入が途絶えて。どうしようって。とりあえず公募展に出そうと。その頃は公募展が唯一の発表の場だった。20代のうちはあらゆる公募展に出した。入選したら展示してもらえるから。日本伝統工芸展にも入ったよ。 辻:公募展も出品したんですね。そのころ、公募展たくさんありましたよね。 キ: 東海伝統工芸展というのがあって、知り合いに出さないかって言われて出したら、たまたま入ったんだよね。田村耕一っていう人が審査委員長で、その人がすごい気に入ってくれて、本展にも出しなさいって言われて。で、本展に出したら、入って。 キ:伝統工芸展は岐阜の高島屋に巡回してたんだよね。そこの美術部の人が、僕に目をつけて、田村さんにどう思うか聞いたら「彼は、いいからやりなさいって」言ってくれたらしくて。それで高島屋で展覧会を開くことになったの。岐阜のお店の人が、日本橋の人にも話をしてくれて。 辻:そうなんですね。不思議だったんですよ。キムさんがどうして高島屋なのか。当時はどんな作品を作ってたんですか? キ:1994年が最初の日本橋。粘土1トンを使ってめちゃくちゃ分厚い「重た皿」ってのを作った。50箱だったかな。その高島屋の人はね、すごい人だったんだよね。デパートって作り手に売り上げの半分ぐらいは保証しろみたいなことを言ってたらしいんだけど、高島屋の人が来たときに「売るのは僕の仕事じゃないから売り上げを求めるならやりたくない」って言ったら、あなたの言う通りです、売るのは私たちがやるからいい作品を作ってくださいって。
辻:陶芸家で友達とか意識してる作家とかいました? キ:鯉江良二さんかな。僕は知らなかったんだけど、職業訓練校の同期が僕の仕事場に遊びに来た時、僕が作ったのを見て「コイエリョウジっていう人がこういうの作ってるよ」って教えてくれたんだよね。どういう人なんだろうと気になって、名前をインプットしておいたら、ある日新聞記事に載ってて、それで個展を見に行ったの。それで「僕がやろうとしてることを先にやってて悔しい」って話をしたら、すごく喜んでくれて。「俺は気にしないからどんどんやればいい」って。その時見た織部がすごく良くて安かった。だけど4000円がなくて買えなくて、1000円のぐい呑みを買った記憶がある。鯉江さんの仕事は凄い気になったね。 辻:同じ時代に生きていると気になるものが同じで、そういう偶然って起きますよね。分かります。そして、それからは、ずっと個展をひたすら? キ:ひたすらっていうほど多くないけどね、まだ。最初のうちは年に1回か2回。1991年、92年ごろから増えていった。 辻:今が66歳でしょ。今後の制作についてはどんなふうに考えてますか。死ぬまで続ける? キ:まあ、作れる限り作っていきたいなと思う。 辻:時代とか社会と制作との関係はどうですか。対談の前に「今年は戦後80年」「80年たっても‥」って話がありましたけど。 キ:なんかますます豊かじゃなくなってる感じがするけどね。どんどんどんどん貧困になってるんじゃないかなと。金銭的なことだけじゃなくて、あらゆるものが。だから僕のものを求める人が増えてるんじゃないかな。特に若い人たちに。やっぱりものを作るっていうのは、そういうことじゃないのかなって。 辻:どういうことですか、分かりやすく言うと。 キ:いや、だから、そういう時、何か満たされない時に、作品と出会うことによって救われるっていうか、満たされていくっていうか。そのために作ってるんじゃないかって思うわけ。だから、表現する人たちは、やっぱり貧困になっちゃいけないわけだよ、心がね。自分が求めてるものを探っていくっていうか、探検をしていくことが大事じゃないかなと思う。自分が何を良しとしてるのかっていう。それがないと、やっぱり表現できてないんじゃないかな、と。そのクエスチョンが必要だと思う。疑問を持つこと。問いかけがアートだから。 辻:既成概念にとらわれないってことですね。最後に金沢のギャラリーの名前に付けた「ライフ」という言葉について、どんなことが思い浮かびますか。ライフには生活だったり、日常だったり、命だったり、大切なものだったり、たくさんの意味がありますけど。キムさんにとってのライフは? キ:これまでも喋ってきたけど、生活のスタイルに憧れるんじゃなくて、自分が何を求めているかを生活する中で気付いていくことが大事なんじゃないかと思う。スタイルだけ真似るんじゃなくて、探し求めた結果、あるスタイルになるってことが、特にものを作っている人には大切で、その人らしさになっていくんじゃないのかな。 辻:キムさんの話は深い!いつも刺激や学びがあります。今日は、貴重なお時間本当にありがとうございました。展覧会作品と、あとキムカフェもすごく楽しみにしてます。キムさんは、コーヒーも深煎りね!
<略歴> キムホノ(金憲鎬、キム・ホノ) 1958年11月、愛知県瀬戸市生まれ。愛知県立窯業高等技術訓練校を卒業後、地元の製陶所などを経て独立。26歳で瀬戸市にアトリエを開く。個展を中心に精力的に新作を発表し、土俗的で力強い作品で知られる。第3回パラミタ陶芸大賞展ノミネート。「陶磁器の島AMAKUSA陶芸展」審査員。著書に「大坊珈琲の時間」、作品集「夢見るように作りたい。キムホノの仕事 1986-2021」など。 <編集後記> 小さい頃から「何かあった時この人は自分を匿ってくれるかどうか考えていた」と話すキムさん。頭の中には関東大震災の朝鮮人虐殺がありました。あれから100年余がたった今も排外主義的な動きが世界で広がる中、見る者に疑問と思考を促すとともに強張った心を解きほぐすような作品の存在が光ります。(鈴)
87th exhibition
kim hono
2025.12.05 fri. — 2026.01.18 sun. ●12/5(fri.) 6(sat.) / 13:00-16:00 キムホノさんによる「キムカフェ」
12月のお休みのお知らせ
2025.11.27
calender
factory zoomer /life 12月のお休みのお知らせです。 12月5日からは、4年ぶりとなるキムホノ展を開催いたします。 初日から2日間はキムホノさんが在廊してくださいます。 また、この両日は13時から16時の時間限定でteeor cafeがキムカフェに!キムさんの淹れてくださる美味しいコーヒーをお召し上がりいただけます。 常設スペースやお洋服なども、クリスマスや新年へ向けてのワクワクするようなアイテムを取り揃えておりますので、ぜひ、ご来店ください!
12月 2日(火) 定休日 3日(水) 定休日 9日(火) 定休日 10日(水) 定休日 16日(火) 定休日 17日(水) 定休日 23日(火) 定休日 24日(水) 定休日 29日(月) 年末年始のお休み 30日(火) 年末年始のお休み 31日(水) 年末年始のお休み 1月 1日(木) 年末年始のお休み 2日(金) 年末年始のお休み open time 12:00ー18:00 ■ 〜12/4(木)常設展 ■12/7(日)、21(日) 月とピエロのパンの日 ■12/29(月)〜1/2(金)年末年始のお休み 1/3(土)より通常営業いたします カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。 イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。
87th exhibition kim hono
2025.11.25
/life - gallery exhibition
2025.12.05 fri.- 2026.01.18 sun. 12:00→18:00
photo by suzuki shizuka
「まだ、見たことないモノを作りたい」と自分自身に挑戦し続ける土のアーティスト、キムホノさん。陶芸界において唯一無二の存在だ。今回も展覧会の事前打ち合わせで、瀬戸市にある工房を訪問した。キムさんにはお願いしてきたことの10%でも叶えば良いと思っている。なんせ、アーティストの気持ちはどんどんアップデートされていくものだから。その時の気持ちが、形になってでてくる。だから面白い。そして、作品が会場に並んだ時にはもう別の作品を思い描いているのだろうね。キムさんが、作家を志した40年前から決めているのは、1度発表した作品を再びどこかの展覧会に出すことはしない、ということだ。これが作家にとってどれだけ大変なことかを考えていたら、「なんか、こうやって、話しているうちに形が浮かんできたよ!」って笑顔のキムさん。あなたの作品はいつも人を元気にする。今回は、キムカフェもオープン。美味しい珈琲もお楽しみに。 店主:辻和美 ●12/5(金),6(土) / 13:00-16:00 キムホノさんマスターによる「キムカフェ」
11月のお休みのお知らせ
2025.10.25
calender
factory zoomer /life 11月のお休みのお知らせです。 11月のギャラリースペースでは、常設展を開催中です。現在はfactory zoomer のガラス作品をご覧いただけます。スタンダードシリーズ内の模様を組み合わせ、そこから派生して生まれた“spin off”シリーズ。存在感のあるボウルを中心とした展示をぜひご覧ください。 急に冷え込んでまいりました、みなさま暖かくしてお出かけくださいね。 11月もご来店心よりお待ちしております。
11月 4日(火) 定休日 5日(水) 定休日 11日(火) 定休日 12日(水) 定休日 18日(火) 定休日 19日(水) 定休日 25日(火) 定休日 26日(水) 定休日 open time 12:00ー18:00 ■ 〜12/4(木)常設展 ■11/9(日)、23(日) 月とピエロのパンの日 ■11/29(土)、30(日) 中国茶稽古開催のためカフェはお休み カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。
10月のお休みのお知らせ
2025.09.27
calender
factory zoomer /life 10月のお休みのお知らせです。 現在ギャラリースペースで開催中のtea or coffee?展は、10月19日まで中国茶を中心としたお道具の展示をご覧いただけます。会期中、前半にご紹介したコーヒーの道具たちもショップコーナーにて引き続きご紹介しておりますので、会期終了までぜひお楽しみください。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。
10月 1日(水) 定休日 7日(火) 定休日 8日(水) 定休日 14日(火) 定休日 15日(水) 定休日 20日(月) 展示切り替えのためお休み 21日(火) 定休日 22日(水) 定休日 28日(火) 定休日 29日(水) 定休日 open time 12:00ー18:00 ■ 〜10/19(日)tea or coffee?展 ■10/12(日)、26(日) 月とピエロのパンの日 カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。 *10月12日(日)、24日(金)は都合によりカフェ営業はお休みさせていただきます。
tea or coffee? 展 ご来店予約について
2025.09.6
/life
factory zoomer /lifeで開催中の「tea or coffee ? 」展、後半の「tea」の展示が9月12日よりスタートします。 開催にあたり、9月13日(土)〜14日(日)の日程を事前ご予約制とさせていただきます。 こちらの日程にご来店をご希望のお客様は、下記をお読みいただき、お申し込みくださいますようお願い致します。 ※初日の9月12日(金)はご招待のお客様にて満席となっております。ご了承ください。 <募集内容> 日程:9月13日(土)・14日(日) 時間:12:00〜18:00まで1時間ごとの予約制(最終の入店時間は17:00〜です) ※ご返信をいただいた順にご予約をお入れしていきます。 【 ご予約方法 】※必ず最後までお読みください。 ご希望の方はメール(store@factory-zoomer.com )にてお申し込み下さい。 お申し込み1件につき1名さまのご予約となります。 件名を【 tea or coffee?展 来店予約 】としていただき、本文へ以下の内容をご記載ください。 ・お名前 ・ご住所 ・お電話番号 ・上記の日時の中でご都合のつかない日程・お時間(希望日時ではありませんのでご注意ください ) 【ご予約結果のお知らせ】 ご予約のお時間は、ご予約枠が確保でき次第、メールにてお知らせいたします。 ご予約内容お知らせメールへのお客様からの返信をもちまして、ご予約完了とさせていただきます。 (火曜・水曜は定休日となりますので、その間のメールの返信は木曜になります) 【 ご注意事項 】 ※必ずご来店のご本人様がお申し込みください。代理の方のお申し込みは、当選の場合でもご入店をお断りすることがございます。 ※ご予約内容お知らせメールへの返信がないお客様はご入店いただけない場合がございます。必ずご返信ください。 みなさまからのご応募をお待ち申し上げております。
factory zoomer /life
9月のお休みのお知らせ
2025.08.23
calender
factory zoomer /life 9月のお休みのお知らせです。 今回で2回目となるtea or coffee?展が8月22日から始まりました。 昨年ご参加いただいた作家の方に加え、初めてお取り扱いさせていただく作家さんなど、お茶とコーヒーにまつわる道具を中心にご紹介しています。器だけではなく、ちいさな木製のエチオピアのテーブルやケトルをモチーフにした絵など、昨年よりもさらに楽しんでいただける内容になっています。 9月11日までの会期前半はコーヒーの道具を中心にご紹介し、9月12日からはお茶の道具の展示に切り替わります。初日は月乃音の渡邊乃月さんの喫茶も開催予定です。※展覧会は12、13、14日は事前予約制ですのでご注意ください。ギャラリースペース以外は予約無しでご覧いただけます。
9月 2日(火) 定休日 3日(水) 定休日 9日(火) 定休日 10日(水) 定休日 16日(火) 定休日 17日(水) 定休日 23日(火) 定休日 24日(水) 定休日 30日(火) 定休日 open time 12:00ー18:00 ■8/22(金)〜10/19(日)tea or coffee?展 ■9/7(日)、28(日) 月とピエロのパンの日 ■9/12(金) 月乃音 渡邊乃月さんによる喫茶(喫茶のご利用はご予約不要) ■9/13(土)、14(日) 中国茶稽古開催のためカフェはお休み カフェ営業 teeor cafeは、週末(金曜〜日曜)の営業となります。イベント開催の際は変更になりますので事前にご確認をお願いいたします。 9月も皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。
86th exhibition tea or coffee?
2025.08.14
/life - gallery exhibition
2025.08.22 fri.- 10.19 sun. 12:00→18:00
drawing by aruse ryosuke
昨年開催した展覧会のなかで、お客様に人気のあった展覧会のひとつに「tea or coffee?」展があります。1年前のオープンに合わせて、交流のある作家の皆さんに、会期を分けて前半はcoffee、後半はteaと、それぞれの道具を作ってもらいました。今年はその第2回目です。 私たちは1日に何度もコーヒーやお茶の時間を持ちます。ひとりで飲む場合、友人や家族とおしゃべりしながら飲む場合、お茶会のようなオケージョンに参加して飲む場合など、喫茶は心身のリフレッシュ、「オンとオフ」の切り替えや、人との交流の場などを生み出してくれます。生活工芸の作家である私たちにとっても、もはや切り離せないテーマです。いかに、有意義で、気持ちの良い時間をもっていただけるかを、道具の提案によって、お手伝いをしていると考えています。 「tea or coffee?」と言わずに、ぜひ、両方の世界観を楽しんでいただけると幸いです。 店主:辻和美 <参加作家> 有瀬龍介、安藤雅信、石原稔久、市川孝、井山三希子、岩田圭介、内田京子、内田鋼一、小慢、竹俣勇壱、月乃音、佃眞吾、中本純也、美人瑜、藤田真由美、三谷龍二、矢野義憲、山本亮平、羅翌慎、オオヤコーヒ、キム・ホノ、パク・ミギョン、ikken、LIGHT YEARS、factory zoomer ※一部作家は「coffee」または「tea」いずれか片方のテーマのみの出品となります
●イベントのお知らせ ・8/22(fri.) 23(sat.) オオヤコーヒ焙煎所・オオヤミノルさんによるコーヒーマスター(23日は15時ラストオーダー) ・9/12(fri.) 月乃音・渡邊乃月さんによる喫茶 ●今展は8月22日〜10月19日の会期を前期(coffee?)・後期(tea?)の2期に分け、作品をご紹介いたします ・前期 coffee ー2025.08.22 fri. から ・後期 tea ー2025.09.12 fri. から <ご注意事項> ※coffee 展は初日からご予約不要ですが、ご来店のお客様が多数いらっしゃる場合は10:30より整理券をお配りします。(近所の方のご迷惑となりますので配布時間より前にお並びになりませんようご協力ください)
<ご注意事項> ※coffee 展は初日からご予約不要ですが、ご来店のお客様が多数いらっしゃる場合は10:30より整理券をお配りします。
⚠️ご近所の方のご迷惑となりますので配布時間より前にお並びになられませんようご協力ください。
※gallery内での撮影・携帯電話のご使用はご遠慮ください。
※作品は丁寧にお取り扱いください。
※作品のご購入点数制限を設けさせていただく場合がございます。詳しくはご来店の際にスタッフへお尋ねください
お願い事を守っていただけないお客様は、ご入店をお断りする場合がございます。
後半、tea 初日(9/12-14の3日間)のご来店は、事前ご予約制とさせていただきます。ご予約方法は追ってインスタグラムやwebにてお知らせいたします。
対談:lifeを探して⑫オオヤミノル「料理としてのコーヒー焙煎」
2025.08.11
interview
対談「lifeを探して」の12回目の相手は、ダークローストのネルドリップでコーヒー好きにファンの多い焙煎家のオオヤミノルさん。8月下旬からの「tea or coffee」展を前に、辻和美がオオヤコーヒの美味しさの秘密に迫りました。(対談は2025年7月上旬、京都市のFACTORY KAFE工船で行った。構成・鈴木弘、写真・沼田万州美)
辻:オオヤさんにはfactory zoomerにコーヒーを卸していただいて、前のお店の立ち上げ時から大変お世話になっています。豆を焙煎していた京都・美山のお宅までお願いに行ったのはもう20年も前になるんですね。オオヤコーヒと言ったら今では日本でも5本指、いや3本指に入るぐらい有名になったわけですけど、そもそもどうしてコーヒーの道に入ったんですか。 オ:ザクっと言うと、現金収入を得る可能性が僕にはもうコーヒーしか残ってなかったっていうことです。要するに何も考えずに音楽をしながら、喫茶店をやってる中で子供ができて、やっぱりちゃんとしようみたいな。スタートはそこです。なんか急に変わった、かわいすぎるから。この息子と犬って本当可愛いっていうか、もう何でもやめてやろうと思いましたね。食えないのに音楽やってるお父さんよりも、ちゃんと食えた方が(家族に)いいとこ見せられるようにも思ったし。 辻:それでどうやってコーヒーの焙煎をビジネスに? オ:まず先代のマスターから引き継いだパチャママという喫茶店をやめました。行くところのない若い子とか美大生とかのシェルターみたいな店でした。いい喫茶店で、惜しむ人が結構いたんですよ。当時1つのモデルケースとして六曜社の奥野修さんっていう人がいたんです。彼はもともとミュージシャンで、僕らの憧れの人だったんで。でもお店って誘惑が多いし、なんか遊びの場所になっちゃって。だからやめて。それでそろそろ大学を卒業して働くような人たちが「次、何やるの」って聞くから「コーヒー焼こうかな」って。そしたら初めなんか適当に「10年分買うわ」とか言ってくれて。そういう子たちが5、6人いたから「じゃあお金もらっとくわ」って先払いでもらって。その時は何も考えてなかったんだけど、今カリフォルニアとかでコーヒーのお店がどうやって出来上がっていくか見てると、それは真っ当なことだったんですね。 要するに自分の好きな人がこれから頑張る時に投資してくれたっていうふうに思うと。 辻:まあ確かに他の国ではスポンサーとか多いですよね。 オ:僕らからすると結構ビジネスライクに聞こえるんだけど、自分が気に入って住んでるエリアに、人とのコミュニティーがあって、ちょうどいい距離にコーヒーショップがないなら、誰かやりたい人がいたら少しお金出すけどみたいな話。彼らは自分の部屋をよくするみたいな感じでお金を出してるんですよ。 辻:今のクラウドファンディングみたい。それで出資してもらった人には焙煎した豆を送り続けたわけ? オ:そう。と言っても10万は貰えないから、5、6万貰っとこかみたいな感じで送ってたんです。彼らは東京に行って、例えばマガジンハウスに就職して、そのうち友達も買いたいとか取材したいとかいう話になって、ちょっとずつですけど始まっていったんです。 辻:それは私が美山に行った頃ですか。 オ:そう。当時は珍しいことだったんですよ。山の中でコーヒーを焼いて町に売りにくるみたいなのは多分1人もいなかった。今なら1つの物語としてブランディングに使えるけど。僕らはもっと切実で、焙煎機を買ったはいいけど煙を出したら近所から怒られるし。まあ家賃は安かったし、人との出会いとかもラッキーでした。買いたい、お金を出したいっていう人が僕を有名にしてくれたっていう側面もあります。それは若い時には気付けなかった構造ですね。 辻:みんなオオヤさんの才能に惚れ込んだんだね。 オ:そうですね。 いや、でもね、もうただ面白かっただけで。僕はでも必死で美味しくした。美味しくするぐらいしか恩返しがないと思う感じだったので。だからそのプレッシャーがあって一生懸命やり続けられて感謝しております、うん。
辻:オオヤさんは昔よく、「コーヒーや喫茶店はただの業者扱いされて下の方に見られてたから、コーヒーの立ち位置を上げたい」って言ってましたね。そのためにこれまでどんな努力をしてきたの。 オ:よく覚えてますね。1つはレクチャーですね。コーヒーの味をどういうふうに見るのかとか、なんでそういう味がするのかとか。僕らはこういう材料をこういう認識でこういうプロセスで焼いてるんですよって。それってコックさんと一緒でしょ。シェフと一緒のことをやってるんですよ、っていうのを分かってほしいの。それはもう20年近くかけてやってきてます。あとは自分たちのショップとかイベントに出た時に全くの素人の人でも「うまい」って言ってもらえる作り方は分かってきて。例えば濃いけども飲めるコーヒーとかね。ちょうどいいっていうのは単純に濃度の問題じゃない。飲み方や好みは人それぞれだけど、僕は美味しいっていうのは相対的なものじゃなくて、1点に集中してるような感じがあると思ってるんです。何かキモみたいなものがあって、それはそんなに人それぞれじゃない。だから、そこに向かっていくために濃くないとダメだと思うし、商品の名前が違ったら味が違わないとダメだと思ってる。そういう設定をすることでこの店はちょっと違うぞとお客さんに思ってもらえるような努力はしてます。あとは何かな。ちょっと偉そうにすることかな、立ち位置を上げるために(笑)。ちょっと偉そうだと自信ありげに見えるでしょ。 辻:オオヤさんを見てると、工芸とかファッションとか、コーヒー以外の分野の人たちと交流している印象があります。 オ:それも立ち位置を上げるための努力かもしれない。要するに目で見るものは分かりやすい、一段階目のハードルが低い。それに対して味で感じるものは分かりにくい、一段階目のハードルが高いんです。美味しいって抽象的だから裏付けがないみたいな。目で見て美しいと感じるものはある程度理解しやすい。それでこの美しいものを作ってる人が僕のコーヒーをいいと思ってくれてる、僕たちの仕事を認めてくれてるっていうのが必要だったと思います。初めだけの問題でその後はね、どっちも深い世界だと思うんですけど。
辻:私たち生活工芸の作家とも付き合いがありますよね。 オ:この間、松本のクラフトフェアで「不完全の美」をテーマに展示をしてましたけど、工芸家の中で最初にちゃんとお付き合いさせていただいたのは辻さんなんですよ。よく勉強させてもらった中で思ったのは、美しいものの中には不完全の美とか未完成の美っていうものがあるけど、味には一切ないんですね。音楽にも下手ウマってあるけど、舌には下手ウマはない。幼い良さとか若い武器とかは。それは音楽にも絵画にも工芸にもあるだろうし、室町のお茶の人は好きだったと思うんだけど、味には一切ないんですよ。ただ、不味いってことですよね。 ちょっと話が脱線しますけど、お茶とワインっていうのは生きてる味の飲み物なんですけど、コーヒーとウイスキーは死んでる味の飲み物なんです。だいたいコーヒーもウイスキーも正直に味を説明すると苦いとか渋いとかエグ味があるとか、まずい要素でしか説明しないんですよ。それまずいの?って聞かれたら、いや、これは美味いんだよね、なぜかみたいな。でも、お茶はフルーティって言ったら本当にちょっとフルーツだし、花のにおいって言ったら本当に花のにおいがするじゃないですか。ワインもそう。生かすものっていうのは美の表現に近いし、その中には不完全さみたいなのも美味しさとかに捉えられるようなんですけど、コーヒーとかウイスキーの世界っていうのは、そういうのはない。だからお茶とコーヒーは兄弟のように語られるけど、正反対だなって。僕はいつもお茶とかワインがうらやましいです。表現が具体的だから。 色もあるし。僕らやってもやっても黒ですから。
辻:じゃあオオヤコーヒが目指すコーヒーの味っていうのは? どういうのが美味しいって思ってるの。 オ:僕のポイントはどんなに濃く濃度を上げても口に刺さらないというか、染み込まないようなものが美味しいと思ってるんです。それは味がどうだとか、構成がとかいうよりも、どんだけ濃度を上げても初め口に油がついて味を感じないみたいな。「遠い味」って言ったら分かりやすいのかな。そういうものを目指しました。具体的には濃度をある程度以上あげると塩味がする。この2つはすごく僕らのコーヒーの中で大きなポイントです。それは浅く焼いたものも深く焼いたものも、濃度が上がっても口に染み込まないようにする。飲んですぐ味がウッてくるようなものじゃなくて、ちょっとオブラートに包んだ味みたいな。これはコーヒーに限らず、どの食材でもそういう傾向があると思ったし、あともう1個は凝縮されたものはそのコーヒーだったらコーヒーの味以外に塩っぽい味がする。 辻:どんな食材でも? オ:お茶もだから、とても凝縮されたいいお茶はちょっと塩味を感じるし、いい加工されたお茶はめっちゃ濃くしても口に刺さらない。多分、塩味はアミノ酸だと思うんです。その口に刺さらないっていうのは、もとから味の構成要素がすべて丸い構成要素になってて、まるで酸っぱいっていうとんがったものも、三角の角が丁寧に丸まってるんで、それが凝縮すれば凝縮するほど一体化するんですよね。例えばカルピスも薄かったら酸があるのに、原液飲んだらすごいまろやかでミルキーみたいな感じで。要するに味の構成要素の間に水が入ってきて距離ができることで逆に刺激的なものになっていくみたいな。うまくできてるものは凝縮すればするほど、口に刺さらないけども余韻がずっと続くみたいなものになるっていう、それを目指してます。 辻:味を見極める舌はどうやって鍛えたんですか。 オ:別に小さい頃から蘊蓄聞きながら美味いもん食ってきたわけじゃないんです。そんな家じゃなかった。でも舌ってそんな鍛える必要はなくて、美味しいっていうのは味の他に権威とか何か見極める時に邪魔なものがありすぎて、今までの教育で。ただそこにはちょっと哲学みたいなものがあって。ポテトチップスがなんぼでも食えるって言った時に、それが1ヶ月食べなかったからなんぼでも食えるなのか、今まで食ってたのと違うポテトチップスだからなんぼでも食えるのかで、「なんぼでも食える」の差は大きいみたいな。そういう変なロジックが昔から好きでした。だから(この仕事は)自分に向いていたと思います。「感性」って言われるのもあんまり好きじゃない。感性じゃないけど、味の構成、アミノ酸とか、メイラード 反応とか、タンパク質が変わっていくと甘くなるとかいったことをしゃべるんです。美味しいって不確定要素が多くて相対的になる。だから美味しいものって何だろうっていつも考えてます。コーヒーも構造主義みたいなもので、構造の配列において美味い不味いが変わっていくんだと思った時、じゃあ細かくいってみようかと。実に馬鹿馬鹿しいけどキュウリにハチミツをかけたらメロン になるみたいな話じゃないですかそれって。
辻:カフェ工船で出してるトーストも一見ミスマッチなんだけど食べると美味しい。その味の実験がすごく面白い。 オ:ありがとうございます。僕らは今のアメリカのスペシャルティコーヒーみたいなトレーニングはしてないです。さっき言ったように美味いものはコーヒーも寿司も全部、凝縮したら口に刺さらない作り方になってるっていうのと、塩を使ってなくても塩味があるっていう2つ。だからトレーニングよりも結構、頭でいってる。想像の頭で。必要のないトレーニングをすると、ある1つの知識の方に向いちゃって、オリジナリティーが発揮できなくなるんですよ。 辻:10年ぐらい前かな。サードウェイブ、第3世代って呼ばれる酸っぱいコーヒーが出てきたじゃないですか。私は苦手だけど、みんなは美味しいって言う。あれはどう思います。 オ:これ面白いですね。要するにカッコいいかどうかの話だったと思うんです、あれって。酸っぱいコーヒーが好きだろうが嫌いだろうが、カッコいい人たちと付き合ってるということは、これは美味いっていうことで。だからニューヨーカーがコメ食えないくせに、寿司は大好きみたいなね。食い手の方が欲望じゃなくて、知識で食い出すみたいな。うん、これはトランプは、トランプの話は今しなくていいですね。 辻:サードウェイブのコーヒー飲んだ時にどう思いました? 雑誌の仕事も兼ねてカリフォルニアにも行きましたよね。 オ:さすがだなと思いました。日本でも昔から浅焼きのコーヒーってあったけど、それの問題点をすべてクリアしてたんで。ふつう浅く焼いた酸っぱいコーヒーは、その代わり香りはたくさん残るんです。だから香り重視の人は味は酸っぱく、浅く焼いてる人がいっぱいいたんですけども、渋みとかちょっとしたエグ味とかも出てしまう。水分率11%の乾物の豆に火を入れて、コーヒーとして飲めるものまでもっていくっていう作業の根本のやり方が、日本人が作ったものでは、浅焼きでは少し問題が出てくる。 要するに、渋みを取ったら、今度は個性が没個性になるとか、材料としての植物性が死んじゃうみたいな。それをアメリカ人の気質っていうのか、焙煎の技術は高いなと思いました。それでうちは調べてすぐそのやり方を取り入れました。「エースメソッド」って言うんですけども。アメリカのスペシャルティコーヒーアソシエーションの中の焙煎研究機関がエースって言うんです。 辻:そのへんオオヤさんはすごく柔軟ですね。今まで濃い深焼きで押してたのに、「俺は浅焼きはやらない」って言わないところが。
オ:ラッキーだったのは、深焼きが美味しい、浅焼きが美味しい、その真ん中が美味しいって、いろんな派があったんだけど、僕は「別にどれも美味くないじゃん」って思いながらコーヒーやってたんです。「ほっぺが落ちるようなコーヒーないじゃん」って。それをもうちょっといけないかなと思ってたし。あと植物を生で出すのも、焦がし切るのも材料の使い方として問題があるなと。そんな料理人はいないよね。さっき言ったように分かりにくくて殺す料理だから「俺のコロンビアのベスト焙煎ポイントはここだ」みたいなことがあり得るのかな、みたいな疑問がどんどん出てくる。ちょうどそんな時に辻さんと出会って、辻さんのギャラリーを見て、僕が知ってる職人系の作家とは違う現代美術の話もしてくれるスタンスに触れたんですよ。だから結構その臨機応変に仕事ができるようになったのも辻さんのお陰なんです。 辻:えー、本当に? オ:そうですよ。作品を入れる箱も、包む紐も、もう全ての方向に向かってベストを尽くしてる、って言われて。じゃあ僕らが1杯のコーヒーに対して全方向でベストを尽くすってどういうことなのかなって。自分のプライドが全方向にエフェクトして、自分のガラスに触れる全てのものをデザインしてるっていう話をしてくれましたよ。それを僕らの仕事に当てはめたらどうなるのか考えたら今の形ができたって感じです。色々パクらせてもらってます。 辻:そう言えば、ここ本当は「FACTORY KAFE工船」って名前でしたね。なんで頭にFACTORYを付けたんだろうって不思議に思ってた。「KAFE工船」で十分なのに。 オ:本当にズーマをパクったんです。ちょうど売り上げが上がってくる時期にね。どこまで1人でやるんだろうって考えて。お客さんはコツコツ1人で焼いてる方が喜ぶんだけど。大きい焙煎機を買うと「薄利多売=悪」みたいなイメージがあって。辻和美とファクトリーズーマ。要するにこれって内山田洋とクールファイブだ、バンドじゃんかって。音楽なんかやったら家族に迷惑かけるからバンドなんて2度としないと思ってたけど、これならできるじゃん、名案だと。バンドで行こうと思って、オオヤミノル&カフェ工船。
辻:それで25年ぐらいかけてコーヒー屋さんの立ち位置も変わってきたんじゃない? 振り返って変わったなと思うことは。 オ:1つ言えるのは、やった分だけやってない人より確実に実力はあるっていう自信ですね。同世代の人と比べて僕の方がちょっと深くやってるなっていう。自分がものすごくやった自負はある。話してても僕の方が経験値に基づいた知識が多いし、科学的エビデンスに基づいたテクニックの凝縮したアメリカのスペシャルティコーヒーの人たちとも議論ができる。商売しながらだから、彼らほどエビデンスを追求できなかったにしても、20年やってきた分はよく知ってる。あとはそんなに変わったことはないですね。 辻:日本のコーヒー業界の中で影響を受けた人はいますか。 オ:やっぱり、京都の奥野修さん。六曜社の地下店のマスター。味の影響は受けなかったんだけど、一貫して奥野さんが言ってたのは「コーヒーはコーヒーだから、コーヒー以上の味なんかないんだよ」って。やりすぎると恥ずかしいみたいな。決してまずいコーヒーじゃなくて、彼のコーヒーは誠実な美味しいコーヒーだったんだけど、目一杯やった味はなんか恥ずかしくない?みたいな感じを持ってる人で、さすがミュージシャンで、だから今もミュージシャンをやる続けてる人なんですけど。要するに表面的なカッコ良さじゃなくてカッコいいってのがあるっていうのをずっと言ってくれた先輩で、カッコいい美味しいとダサい美味しいと2つあるって。カッコいい美味しいでいけるかどうか。美味しいけどダサい場合もあるし。 辻:じゃあ表参道でやってた大坊珈琲店の大坊さんは? オ:とても尊敬してるんですが、僕は実はあんまり影響を受けてないです。ただ、あのようにしたら、あのように評価されるんだな、みたいなものはとても見せてもらいました。で僕はやめとこうと思いました。彼は純粋にそれをやっただけな人なんですけど、誰もしゃべらないようにちょっと怖く怒るお店を若いのに作ろうとしてる人とか出てくるのを見て、やっぱり正解だと思いました。カッコいいからなんかストイックで、求道者みたいで、みんなカッコいいって素敵で、やっぱ美味しいよね、って言うんですけども、実はカッコよくも美味しくもなるのにわざと遠回りする方が、みんなが感動するっていう話じゃないですか。わざと遠回りして出来上がった物語、ストーリーっていうのは、ちょっといかさまなんですよね。大体は、うん。 辻:それって古道具の世界とちょっと似てるね。古道具坂田さんがいて、その後に出てきた人たちの感じが。 オ:僕の想像ではあるけど、坂田さんのメインはちゃんとしたものを売ってたんだと思うんですね。それがちゃんとしてないものからスタートする形で、今ものすごいなんかアーティスト系みたいな古道具屋さんがいっぱいいて、結構な値段をつけてて、それは面白い。けどもう古道具屋さんじゃなくて違う業種になってる。でも僕の世代からしたら、死んでも人が選んで提案したものなんて買わないと思う。自分で探したい、見つけたいと思うし。ZAKKA(東京)が素敵だって、そうやって提案していったと思うんですけど、あれは若かったから勉強の場になったんで、勉強のために古道具なんて買わないから。 辻:提案されたものが、みんな楽なんだろうね。 オ:だからZAKKAのようなZAKKAチルドレンの雑貨屋さん、大坊さんのような大坊チルドレンのコーヒー屋さん。要するに2番手って僕が呼ぶ人はよく似てる。何か形を変えて、物語だけを追いかける演劇的でパフォーマンス的な感じがあって。そのことをでも消費者もこれは工芸の消費者も近いと思うんですけど、それを素敵だ、美味しいって言ったりしてる。だからさっきの話につながりますけど、自分のコーヒーの立ち位置を上げたりとか、自分のキャリア、みんなから尊敬されることが、お金をもらう裏付けにしてきた身からすると、それじゃあ浅はかなものにすぐに戻っちゃうみたいな気がして。だからあまり成果は出なかった気がします。 そういう意味で売り上げは上がって食べられるようにはなったけれども、何か思ってたようにいいようになったわけではないなって。それは結構ネガティブじゃなく言いたい。 じゃあもう1丁やったろうかとも思うし、その場合は。逆にすぐそのレベルに戻るなら、まだ俺にやって欲しいって言ってくれる人がまた現れる可能性があるよね。
辻:それで最後の質問ね。去年「factory zoomer/life」という名前のお店を作ったんですけど、ライフって聞いた時に最初に思うことは何ですか。 オ:ライフは日々の生活じゃなくて、人生と根性とでも言いたい。僕はシャンソンがとても好きで若い時を過ごしたので、彼らは「ラヴィ」って言うんですね。「セコムサ」とか。「こんなもんだよ、人生は」みたいな。悲しいこともあって、楽しいこともあって、でも死んでしまうしね、みたいなね。とてもカッコいいことで、みんな人生って言えばいいと思いますねライフのことを。で、人生は素晴らしい。 辻: なんて素晴らしい答えでしょう。 オ:人生は素晴らしい。だって死んでしまったらおしまいだもん。人生に乾杯とか言ってみたいですよね。でもそろそろ言えるのかな。辻さんとはもう長い付き合いだし。最後に強調したいのは僕、本当に辻さんたちについていったんです。それは生活工芸のムーブメントじゃなくて、作家一人ひとりのデザインと向き合う力とか消費されないためのすごい努力とかについていったつもりです。僕のモデルは生活工芸で生き残ってる人たちです。 辻:生活工芸のメンバーは一応いろんなことを考えてまだ新しいことをやってるよね。みんな器を作ってるから、味を作ってる人と何か一緒にできたのは良かったと思うんです。一緒に盛り上がれたというか。 オ:また、おじいさんとおばあさんになったら、もう1発やりたいなと思います。
<略歴> オオヤミノル 1967年生まれ。京都出身。オーヤコーヒ焙煎所代表。20代から京都市内で喫茶店やバーを営む一方、京都・美山で独学でコーヒー焙煎を始め、ダークローストで人気を集める。現在はネルドリップ専門店の「FACTORY KAFE工船」(京都)、エスプレッソコーヒーの「Café gewa」(倉敷)を経営するほか、東京での出店を計画中。各地のイベントに参加し、美味しいコーヒーのための実践的なレクチャーも行っている。著書に「美味しいコーヒーって何だ?」(マガジンハウス)「珈琲の建設」「喫茶店のディスクール」(誠光社)など。
<編集後記> オオヤさんの言葉は時に難解で理屈っぽく聞こえますが、それも味という抽象的なものを正確に捉え、相手と分かり合いたいという熱意やコーヒーへの愛あればこそ。「アーティストのように作ってロックミュージシャンのように表現したい」。その信条通りの姿に見えます。(鈴木)
86th exhibition
tea or coffee?
2025.08.22 fri. — 10.19 sun. ●8/22(fri.) 23(sat.) オオヤコーヒ焙煎所・オオヤミノルさんによるコーヒーマスター ●9/12(fri.) 月乃音・渡邊乃月さんによるティー バー ー参加ー 有瀬龍介、安藤雅信、石原稔久、市川孝、井山三希子、岩田圭介、内田京子、内田鋼一、小慢、竹俣勇壱、月乃音、佃眞吾、中本純也、美人瑜、藤田真由美、三谷龍二、矢野義憲、山本亮平、羅翌慎、オオヤコーヒ、キム・ホノ、パク・ミギョン、ikken、LIGHT YEARS、factory zoomer(敬称略)
トラネコボンボン展 延期のお知らせ
2025.08.7
/life - gallery exhibition
factory zoomer /life のgalleryにて、2025年10月に予定しておりました「トラネコボンボン展」は、来年2026年2月に延期をさせていただく事になりました。 以下、トラネコボンボン中西なちおさんのインスタグラムより ——————– 昨年から私の植物誌を一冊にまとめたいと書き進めていたのですが、ずっとやりたかったコーカサスの植物観察も少しだけで本に収録して残したいと思い、この夏、思い立って急遽ジョージアへ、草の旅に出かけました。 10月の展示には書籍の制作が間に合わず、原画のみの展覧会にしようかと思っていたのですが、書籍の制作までの時間をいただける事になりました。 既に予定を組んでくださっていたお客様には、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。来春、見にきてくださると嬉しいです。 ——————– 雪景色の中での植物の原画のご紹介は、凛とした静かな空間の中でご覧いただくことができるのではないかと思います。制作を進めていらっしゃる新刊の完成もぜひ楽しみに、お待ちいただけましたら幸いです。 詳しい日程につきましては、また改めてお知らせいたします。 factory zoomer /life